ページ40
.
視線を合わせると私よりも辛そうに眉を下げる姿に堪えていた涙が溢れ出した。
オロオロと動く手が私を抱き寄せて胸を貸してくれる。
「A、どうしたの?」
優しい声で話しかけられて涙が止まらない。
こんなに弱ってたんだ。
てつやの背中に手を回してぎゅ、としがみつくと嗚咽の止まらない私を優しく抱き締めてあやしてくれた。
.
「落ち着いたー?」
「っ、ん」
頷くと顎を持ち上げられ軽くキスを落とされた。
そのまま見つめるてつやは、いつもよりだいぶ真面目で心配そうな顔をしてた。
「……悩み事は、俺には話せんの?」
いつもおねだりする時の子犬みたいなウルウルした目じゃなくて、真剣な顔をするとこうも男らしいんだと改めて感じて俯く。
フィルターがかかってるみたいにイケメンで目が合わせられない。
そんな顔で見られたら言えないよ…
グイッとまた顎を持ち上げられて強引に視線を合わせられる。
「俺じゃ頼りないんか」
「ちが、」
「じゃあ話せるやん。」
優しい声なのに凄みがある。
もしかして、怒ってる、?
「てっちゃん、」
「何?」
「怒ってる?」
じっと見詰められて盛大な溜息をつかれる。
「そりゃ怒るだら。なんで俺に言わずに1人で溜め込んでんの」
良いからはよ吐け、と頬を摘まれててつやの優しさに胸がキュンとした。
「や、あ、大した事はないんだけど…疲れちゃって…」
「うん、で?」
「……てっちゃんに甘えたくて、か、構って欲しくて…部屋行ったら忙しそうにしてたから また仕事に手付けたんだけど出来なくてむしゃくしゃしちゃって、」
泣いてました、と白状する前に強く抱き寄せられる。
「!な、なになに」
「はあ……可愛すぎんか。」
なんか俺に言えない秘密でもあるのかと思った、と情けない声で呟く。
「そんな訳ないじゃん、!」
「分かっとるって」
ちょっと不安になっただけだよと撫でられる。
「……よし。
今日は俺が甘やかしてやる。」
.
338人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
フラワー(プロフ) - 更新お疲れさまです。そして続編おめでとうございます。これからも頑張って下さい! (2019年7月3日 15時) (レス) id: 34909526e5 (このIDを非表示/違反報告)
ふうか(プロフ) - お忙しい中、お返事ありがとうございます!全然大丈夫です…!続編での更新楽しみに待っております…よろしくお願いします! (2019年5月27日 10時) (レス) id: 8efdf1c9c8 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - 遊馬さん» 返信ありがとうございます!続編でも構いません!待っています。現在のお話もすごく楽しみにしてます! (2019年5月27日 1時) (レス) id: e2ae3a79dd (このIDを非表示/違反報告)
ふうか(プロフ) - はじめまして…全て読ませていただきました…すごく癒されました…私もリクエストをお願いしたいのですが、てつやの献身的な彼女のお話が読みたいです。あやふやですみません…虫さんの献身的な彼女のお話が好きなので…これからも応援しております。 (2019年5月26日 23時) (レス) id: 8efdf1c9c8 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - リクエストありがとうございます!!すごくよかったです!!難しくざっくさていたのにありがとうございました。 またよろしくおねがいします! (2019年5月26日 21時) (レス) id: 2cd07c1461 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:遊馬 | 作成日時:2019年4月24日 14時