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「忘れ物したって連絡したら、夜の内に取りに来いって言われたんよねー。」
いつもよりだいぶフランクな話し方に、先生同士ではなくオフな金澤さんを感じた。
「高橋さんは残業?」
「う、ん。そうだよ」
「なんか、タメで話すの違和感あるね」
くす、と口許を手で抑えながら笑う金澤さんを見て同じように思っていた事が嬉しく感じた。
「ね、いつも通り金澤先生って呼びそうになるよ。」
「確かにさん付けより先生呼びの方がしっくりくる節あるね。ね、それ明日やって一緒に帰らん?」
一緒に帰ろう、なんて嬉し過ぎるなぁ。
断るなんて私には考えられないのに わざわざちゃんと質問として投げ掛けてくれる金澤さんに笑みがこぼれる。
「うん、そうしようかなぁ」
「じゃ、決まり。僕忘れた物取ってくるから高橋さんは職員室で荷物纏めて来て。校門で会おう」
こくりと頷いて別々の道につく。
後で会えるのに別々に歩くのが寂しいなんてどうかしてるみたいだ。
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「お待たせしました…!」
「全然待ってないよ。寒くないの?コートだけで」
ちら、と視線が動いたのが見えてもっとちゃんとオシャレしてくればよかったと朝の自分を叱る。
ふわり、とマフラーで視界が一瞬塞がれそっと首に巻かれる。
「巻いときん」
金澤さんの匂いに包まれてるような感覚に思わず頬を染める。
ありがとうと伝えると嬉しそうに いいよと返してくれた。
「しかしビックリしただら。」
「うん ビックリした」
「僕もこのタイミングでバレるとは思ってなかったし、辞めさせられるとも思ってなかった」
白い息を吐きながらこんなポンポン話進むなんてねぇ、とちょっと寂しそうに笑っていた。
「辞めんのはいいんだけどさ、」
「?うん」
「Aちゃんと会えなくなるのが辛いなーって」
2人してピタリと足が止まり見詰め合う。
暗いから分かりづらいけど心なしか顔が赤い気がする。
かく言う私も赤いだろうけど。
「ねえ、その反応は僕と同じと思っていいの?」
「…うん、いい。
私も、会いたいから」
言い切ったと同時にぎゅっと抱き寄せられ 私と同じくらいの身長の彼の肩に顔を埋める。
「今度あった時にマフラー返して」
「―え?」
「また会おうって、約束の印。」
___ / end
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「深夜(または夜)の教室」「冬」というお題をもとに。
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フラワー(プロフ) - 更新お疲れさまです。そして続編おめでとうございます。これからも頑張って下さい! (2019年7月3日 15時) (レス) id: 34909526e5 (このIDを非表示/違反報告)
ふうか(プロフ) - お忙しい中、お返事ありがとうございます!全然大丈夫です…!続編での更新楽しみに待っております…よろしくお願いします! (2019年5月27日 10時) (レス) id: 8efdf1c9c8 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - 遊馬さん» 返信ありがとうございます!続編でも構いません!待っています。現在のお話もすごく楽しみにしてます! (2019年5月27日 1時) (レス) id: e2ae3a79dd (このIDを非表示/違反報告)
ふうか(プロフ) - はじめまして…全て読ませていただきました…すごく癒されました…私もリクエストをお願いしたいのですが、てつやの献身的な彼女のお話が読みたいです。あやふやですみません…虫さんの献身的な彼女のお話が好きなので…これからも応援しております。 (2019年5月26日 23時) (レス) id: 8efdf1c9c8 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - リクエストありがとうございます!!すごくよかったです!!難しくざっくさていたのにありがとうございました。 またよろしくおねがいします! (2019年5月26日 21時) (レス) id: 2cd07c1461 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遊馬 | 作成日時:2019年4月24日 14時