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Mushimegane side
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課題に向かう後ろ姿を見ながら僕は思い出していた。
分かりやすすぎるAの熱視線に気付いたのは二月ほど前。
最初は視線を感じるなあ、くらいだったのに気づけば僕を見てぽーっとしてることが多くなった気がする。
それは恋心を含んでいるようで。
スーパーでばったり会った時も僕と一緒にいたりょうくんより気にかけてくれたし。
好きな料理だとか何気ない話に花を咲かせた。
…帰り道でりょうくんから絶対虫さんの事好きじゃん!と揶揄われたのはまんざらでもない。
結論から言うと僕も好きなんだと思う。
ちょっとだけ手がかかる子だけど優しいし話も面白い。それにかわいい。
多分僕がこうやって気持ちに気付いてることも、僕が好きだということも気付いてないだろう。
未だぼうっとして進んでないことを注意するとシャーペンがやっと動いたようだった。
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「太紀さん。」
「んー?」
「ここ、」
ここって、と指をさすタイミングで肩が触れ合うくらい近くに寄ってみる。
…僕だってこの関係を進めたいから。少しの意地悪と甘やかしを。
あ、わかりやすいくらいに固まった。
「ここはね―」
お構いなしに進んでく。
あたかも真面目に説明してるふうに、プリントを指でさし次にシャーペンを持つ手を軽くつつく。
書きなさいと注意してるのか、僕を意識するように仕向けてるのか。
答えは後者だが、多分君には伝わってないだろう。
こんな簡単な引っ掛け問題に躓く君だから。
僕の意図もわかんないだろうね。
分かりやすく意識してもらえるとっておきのやつを。
最後に。
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「できた!」
偉いね、と伝えながら頭を軽く撫でる。
「A、いいこ。」
視線を合わせて柔らかく微笑むとそのまま机に突っ伏した君を見て口元を押えた。
可愛い。
ううと呻きながら、小さな声で ずるい…すき、と呟く君の耳元に唇を寄せて愛を囁いた。
「僕も好きだよ。」
___ / end
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「―――…え?」
「僕も好きだってば。」
「そんな素振りなかっ…」
「気にしんでええの、僕と付き合うだら?」
「〜〜!うん」
「泣くな。可愛いだけだからそれ」
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家庭教師(?)ネタ。
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フラワー(プロフ) - 更新お疲れさまです。そして続編おめでとうございます。これからも頑張って下さい! (2019年7月3日 15時) (レス) id: 34909526e5 (このIDを非表示/違反報告)
ふうか(プロフ) - お忙しい中、お返事ありがとうございます!全然大丈夫です…!続編での更新楽しみに待っております…よろしくお願いします! (2019年5月27日 10時) (レス) id: 8efdf1c9c8 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - 遊馬さん» 返信ありがとうございます!続編でも構いません!待っています。現在のお話もすごく楽しみにしてます! (2019年5月27日 1時) (レス) id: e2ae3a79dd (このIDを非表示/違反報告)
ふうか(プロフ) - はじめまして…全て読ませていただきました…すごく癒されました…私もリクエストをお願いしたいのですが、てつやの献身的な彼女のお話が読みたいです。あやふやですみません…虫さんの献身的な彼女のお話が好きなので…これからも応援しております。 (2019年5月26日 23時) (レス) id: 8efdf1c9c8 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - リクエストありがとうございます!!すごくよかったです!!難しくざっくさていたのにありがとうございました。 またよろしくおねがいします! (2019年5月26日 21時) (レス) id: 2cd07c1461 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遊馬 | 作成日時:2019年4月24日 14時