*NEAR

[tty] ページ21

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チャイムの音が馬鹿みたいに鳴ってる。
忙しなくピンポンピンポンと連打されA〜〜〜と叫ぶ声が聞こえる。


…幻聴？てつや？

現実だったら大家さんに怒られちゃう、と頭だけ冷静になりつつ ふらふらと歩いては鍵を開けた。

「A！」
「てつやうるさ、うつっちゃうから来ちゃ駄目だよ…」

やだよ俺以外の人に看病されるなんて〜だめ！と力説され、ふわっと体が宙に浮く。

「わ お姫様だっこだ…、」
「俺がAの王子様？」

「…うん」


熱を理由に素直に頷くと てつやは顔を紅くしながら嬉しそうに笑う。
そんな反応されたら私も恥ずかしいじゃん…と八つ当たりながら首に手を回す。


「なあ、それは反則じゃん…。」


ちゅ、と軽く頬に口付けられ、そっと抱きかかえたままベッドまで連れていかれた。


.


「くすり！飲んだ？」
「まだ、ご飯も食べてない…」


ベッドサイドに座り込んでは心配そうに覗き込んでくるてつやを見て ふふ、と笑みをこぼす。
手を握ってトントンとあやしてくれる姿はいつもより大人っぽく見える。

「じゃあ俺、食えそうなの買ってくる」
「え、」

「なに？寂しい？」

いつもだったらニヤニヤと笑ってる頭を小突いて、馬鹿言え！なんて張り合えるけど今日は違う。
寂しい…のかな、何となくこの手を離したくない。

行っちゃやだな…。


「――…さみしい」

勇気を振り絞って口に出すと漫画でよくある表現のように、ピシッと石みたいに固まった。
徐々に顔を真っ赤にして口をぱくぱく動かすとベッドに突っ伏した。


「ずりぃ………。」


ぼそっと呟くと突っ伏したまま、寝かしつけるようにぽんぽんと撫でられ私はゆっくり微睡んでいった。



＿＿＿ / end



#


(あっっぶねえ……！！寝かしつける前に俺のてつやが起きるところだっ)
(言わせねーよ！？？)


# てつやからの処方薬

いつも以上にでろでろに甘やかす
大事にされてることを感じさせられる
ちょっとばかり盛る

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