検索窓
今日:22 hit、昨日:19 hit、合計:32,785 hit

第131話 婚約者候補は誰? ページ38

.

ギモーヴを食べ切って胃もたれを起こして、ソファに寝転ぶ私。船津さんはゲームに飽きたのか、経済学と書かれた分厚い本を読んでいた。

「…Aはさ、なんでこの学院に来たの?」

突然の質問に、私は困惑する。私は姿勢を正して、船津さんの方を見た。

「…こ、婚約者を––探すため」
「へえ、婚約者?それはずいぶんと…興味深いね」

厚い本をパタンと閉じながら、私の方へ目を向けた船津さん。

「婚約者を探すために、最難関と言われるうちの試験を突破し、そして男装––変装もバレなかったと」

そう。実は、この学院に入るためにはその試験を突破しなくちゃいけなかった。そして、カンニング防止のため、試験時は各1人個室が設けられており、あるのは試験用紙と教員を呼び出すためのボタン、そして筆記用具の3つだけ。

正直、自分でも限りなく奇跡だと感じている。

「…Aは、素質のある人間かもしれないね」

船津さんはそう言い終えると立ち上がり、私が座っているソファの背もたれに手を置いた。いわゆる壁ドン。ならぬソファドン。

「…なろっか、婚約者に」
「えっ…?」

うっとりした目で私を見る船津さん。驚きのあまり、目を見開く私と視線が交わる。

「日本を代表するゲーム会社の代表取締役の婚約者––。
俺なら、Aがいま背負ってるその借金も重荷も全部取り払うことができる」

そう言い終えると、船津さんの顔が目の前に迫った。そして私の横を通り抜け、耳元に触れる吐息。

「…俺と一緒になれば、必然的に好きな海と長く居られる」

どくん、と心臓が高鳴った。

代表取締役である船津さんと一緒なら、海さんと居られる?

「…時間はたっぷりある。ゆっくり考えて、決断してくれ」

船津さんのつけているコロンの香りがふわっと漂う。まるで魔法でも秘めているかのように、それは私の全身を覆った。

第132話 2人だけのヒミツ→←第130話 もう一度、遊ぶ?



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (56 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
179人がお気に入り
設定タグ:超特急 , 男装
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

桜月(プロフ) - うめこんぶさん» わわ!ご指摘ありがとうございます(;´Д`A 引き続き、良い小説が書けるよう頑張ります!よろしくお願いします!d( ̄  ̄) (2018年12月23日 1時) (レス) id: 3c689d561d (このIDを非表示/違反報告)
うめこんぶ(プロフ) - 更新ありがとうございます!126話と127話が抜けてると思いました。これからも楽しみにしています! (2018年12月23日 1時) (レス) id: 0ab6ffd78b (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - ぱにぱにこちゃんさん» コメントありがとうございます・:*+.\(( °ω° ))/.:+ ゆるゆるっとですが、更新しますのでぜひ!よろしくお願いいたします♪ (2018年12月1日 1時) (レス) id: 3c689d561d (このIDを非表示/違反報告)
ぱにぱにこちゃん(プロフ) - 更新待ってますっ! (2018年6月17日 7時) (レス) id: e09c37547f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:SORA | 作者ホームページ:https://twitter.com/SORA_39xx  
作成日時:2018年5月29日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。