第131話 婚約者候補は誰? ページ38
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ギモーヴを食べ切って胃もたれを起こして、ソファに寝転ぶ私。船津さんはゲームに飽きたのか、経済学と書かれた分厚い本を読んでいた。
「…Aはさ、なんでこの学院に来たの?」
突然の質問に、私は困惑する。私は姿勢を正して、船津さんの方を見た。
「…こ、婚約者を––探すため」
「へえ、婚約者?それはずいぶんと…興味深いね」
厚い本をパタンと閉じながら、私の方へ目を向けた船津さん。
「婚約者を探すために、最難関と言われるうちの試験を突破し、そして男装––変装もバレなかったと」
そう。実は、この学院に入るためにはその試験を突破しなくちゃいけなかった。そして、カンニング防止のため、試験時は各1人個室が設けられており、あるのは試験用紙と教員を呼び出すためのボタン、そして筆記用具の3つだけ。
正直、自分でも限りなく奇跡だと感じている。
「…Aは、素質のある人間かもしれないね」
船津さんはそう言い終えると立ち上がり、私が座っているソファの背もたれに手を置いた。いわゆる壁ドン。ならぬソファドン。
「…なろっか、婚約者に」
「えっ…?」
うっとりした目で私を見る船津さん。驚きのあまり、目を見開く私と視線が交わる。
「日本を代表するゲーム会社の代表取締役の婚約者––。
俺なら、Aがいま背負ってるその借金も重荷も全部取り払うことができる」
そう言い終えると、船津さんの顔が目の前に迫った。そして私の横を通り抜け、耳元に触れる吐息。
「…俺と一緒になれば、必然的に好きな海と長く居られる」
どくん、と心臓が高鳴った。
代表取締役である船津さんと一緒なら、海さんと居られる?
「…時間はたっぷりある。ゆっくり考えて、決断してくれ」
船津さんのつけているコロンの香りがふわっと漂う。まるで魔法でも秘めているかのように、それは私の全身を覆った。
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桜月(プロフ) - うめこんぶさん» わわ!ご指摘ありがとうございます(;´Д`A 引き続き、良い小説が書けるよう頑張ります!よろしくお願いします!d( ̄  ̄) (2018年12月23日 1時) (レス) id: 3c689d561d (このIDを非表示/違反報告)
うめこんぶ(プロフ) - 更新ありがとうございます!126話と127話が抜けてると思いました。これからも楽しみにしています! (2018年12月23日 1時) (レス) id: 0ab6ffd78b (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - ぱにぱにこちゃんさん» コメントありがとうございます・:*+.\(( °ω° ))/.:+ ゆるゆるっとですが、更新しますのでぜひ!よろしくお願いいたします♪ (2018年12月1日 1時) (レス) id: 3c689d561d (このIDを非表示/違反報告)
ぱにぱにこちゃん(プロフ) - 更新待ってますっ! (2018年6月17日 7時) (レス) id: e09c37547f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SORA | 作者ホームページ:https://twitter.com/SORA_39xx
作成日時:2018年5月29日 19時