第123話 うしなった者とは ページ30
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「…どうした、海。何をそんなに怒ってる?」
座り心地の良さそうな、豪華な椅子に腰掛けながら足を組んでいる稜雅。対する海は、少しだけ怒ったような顔をしている。
「………いえ、何も」
丸い白陶器のティーポットを持っている海は、間をたっぷり開けてから返事をした。そんな様子を見て、稜雅は楽しそうに微笑んでいる。
「海ー。Aの顔の傷跡は、生徒同士の喧嘩によるものだよ。俺は関与していない。
…それとも、その場を助けられなかった自分に怒ってるのか?」
海の手が一瞬だけ止まった。
「男同士、殴り合いの喧嘩だってする。顔の傷跡は、男にとっての勲章だ。
Aは女じゃない–。海が苛立っている理由が分からないよ」
「…かつて仕えていた
イライラした様子で、稜雅に言葉を返す海。稜雅は、椅子から立ち上がると海の目の前に立った。
「なら…俺がAに殴られたら–
お前は、今と同じセリフを言えたか?
俺だって、海にとっちゃ″かつての主人″だけど?」
このセリフを聞いた海の目に動揺が走る。
「………おそらく」
海はそう言ったあと、この流れを誤魔化すように部屋の掃除をした。
*
「…そう言えばね、さっき佑亮くんと入れ違いで稜雅さんに会った」
マルシェでのんびり過ごしていた頃。私と佑亮くんは、ジュースを飲みながらベンチに座っている。
「えっ…?今日お休みだったよね…?」
ズーッと音を立ててジュースを飲んでいた佑亮くんは、ストローから口を外して目を大きく見開いた。
佑亮くんの大きな瞳とぱっちり合わさる。
「うん…。海さんがいたから、サボりじゃないと思うけど…」
私は首をひねりながら、ストローを口に含ませる。
「…海さん、もうこの学院に戻ってきたの?」
飲み切ろうと吸い上げたジュースが、器官に入る。私は、ごほごほとむせてしまった。
「…う、うん…戻っては…来た、かな」
ただ、あの様子を見ると…稜雅さんの専属になったのかな…。
会える機会はあるかもしれないけど、ちょっと寂しい気持ちになった。
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桜月(プロフ) - うめこんぶさん» わわ!ご指摘ありがとうございます(;´Д`A 引き続き、良い小説が書けるよう頑張ります!よろしくお願いします!d( ̄  ̄) (2018年12月23日 1時) (レス) id: 3c689d561d (このIDを非表示/違反報告)
うめこんぶ(プロフ) - 更新ありがとうございます!126話と127話が抜けてると思いました。これからも楽しみにしています! (2018年12月23日 1時) (レス) id: 0ab6ffd78b (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - ぱにぱにこちゃんさん» コメントありがとうございます・:*+.\(( °ω° ))/.:+ ゆるゆるっとですが、更新しますのでぜひ!よろしくお願いいたします♪ (2018年12月1日 1時) (レス) id: 3c689d561d (このIDを非表示/違反報告)
ぱにぱにこちゃん(プロフ) - 更新待ってますっ! (2018年6月17日 7時) (レス) id: e09c37547f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SORA | 作者ホームページ:https://twitter.com/SORA_39xx
作成日時:2018年5月29日 19時