第117話 スキだらけの日々 ページ24
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私の目元を覆っていた海さんの手がいつの間にか自分の背中に回り、それでも私は目を瞑ったまま海さんに全身を委ねていた。
お互い、すっかり蕩けきった頃−。
ピンポーンと鳴るチャイムの音にびっくりして、2人で顔を見合わせる。
その瞬間、さっきまでの行為が脳裏をよぎり、私は恥ずかしさのあまりそそくさと海さんの元を離れた。
「は、はーい!」
誤魔化すように、そう言いながら玄関へ向かう。
ドアを開ければ、そこには佑亮くんが立っていた。
「あ、Aくん!おはよ!
…熱あるの?顔赤いけど平気?」
そう言いながら、心配そうな顔で私の顔を覗き込む佑亮くん。
「あっ…う、うん…!平気…!早く行こう!」
私は慌ただしく、近くに置いてあるスクールバッグを手に取り、玄関のドアを閉める。
数分前までの自分を思い浮かべたら、またぶわっと顔が熱くなった。
「…大丈夫…?」
「う、うん…!本当、大丈夫!早く学校行こ!」
私は佑亮くんの手首を取り、そそくさと寮を出る。
ドキドキしているのは、寮から学院まで全力で走ったせいにした。
*
「あの…Aくん…。手…」
そう言いながら、視線を落とした佑亮くん。佑亮くんの視線の先には、がっちりと繋がれた私たちの手があった。
「あっ、ご…ごめん…」
そう言いながら、私は慌てて手を離す。そして、何事もなかったかのように、2人でホールまで歩き出した。
今朝…海さんは、なんでキスを…。
そんなことを考えながら、ふと自分の唇に指を這わせる。ずっと目を瞑っていたから、海さんがどんな表情をしていたのか分からない。
「(…こっそり覗き見すれば良かった…)」
わずかな後悔に、少しだけ頭を抱える。そして、すぐに顔が赤くなった。
「Aくん…?」
そう言いながら、私の顔を覗き込む佑亮くん。あまりにも距離が近くて、私はなぜか佑亮くんの唇をじっと見つめてしまった。
「あっ、いや…ううん…!な、なんでもないよ!」
私は佑亮くんの視線と唇から逃げるために、俯きながら足早にホールを抜ける。
佑亮くんの時とは違った–激しいながらも優しいキスに戸惑いが隠せない。
「(海さんは、なんで–)」
あんなにも優しいキスを、私にしたんだろう。
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桜月(プロフ) - うめこんぶさん» わわ!ご指摘ありがとうございます(;´Д`A 引き続き、良い小説が書けるよう頑張ります!よろしくお願いします!d( ̄  ̄) (2018年12月23日 1時) (レス) id: 3c689d561d (このIDを非表示/違反報告)
うめこんぶ(プロフ) - 更新ありがとうございます!126話と127話が抜けてると思いました。これからも楽しみにしています! (2018年12月23日 1時) (レス) id: 0ab6ffd78b (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - ぱにぱにこちゃんさん» コメントありがとうございます・:*+.\(( °ω° ))/.:+ ゆるゆるっとですが、更新しますのでぜひ!よろしくお願いいたします♪ (2018年12月1日 1時) (レス) id: 3c689d561d (このIDを非表示/違反報告)
ぱにぱにこちゃん(プロフ) - 更新待ってますっ! (2018年6月17日 7時) (レス) id: e09c37547f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SORA | 作者ホームページ:https://twitter.com/SORA_39xx
作成日時:2018年5月29日 19時