第115話 顔の傷跡と痛む心 ページ22
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「(海さんが、いた…)」
すっかり乱れたベッドの上。私は、枕を強く抱きしめながら今日あった出来事を振り返った。
海さんが同じ教室にいた。それだけで、私の心は天にも登りそうな気持ちになる。
「(ずっと…会えなくなるわけじゃないもんね…)」
それだけで、私の頑張る糧となる。
熱くなった顔は傷や痣のせいにして、私はバクバクと鳴る心音を抑えながら深い眠りについた。
*
翌朝。
洗面所の鏡で自分の顔を見たら、ある程度の腫れは引いたもののーやっぱり、傷や痣は薄っすらと痕になっていた。
ぬるま湯で顔を洗えば、傷口にしみて痛い。
タオルで顔を拭けば、薄っすらと血がついた。私は小さく息を吐きながら、血のついたタオルを放り捨てる。
「(うう…痛い…)」
どうか痕にならないように、顔を冷やしたり軟膏を塗ったりしてるけど…。
「(…女の子としての生活に戻れるのかな…)」
そんなことを考えながら、私は学院に向かおうと準備を始めた。
その時、ピンポンとドアベルが鳴る。誰だろうと思って玄関を開ければーそこには、海さんが立っていた。
「おはようございます。傷跡の手当てをしに、参りました」
そう言いながら、海さんは手に持っていた救急箱をちらつかせる。
「…入っても?」
「あっ、はい。ど、どうぞ…」
機械的なやりとりに驚きつつ、私は海さんを部屋へ招き入れる。
部屋に入った海さんは、玄関横にあるボタンで何かを操作した。その時、部屋の窓に重たそうな雨戸が窓を閉める。
「…まずは、おかけください」
そう言いながら、海さんは慣れた手つきで近くにあった椅子を引く。私は、おずおずと海さんの言われた通りに、椅子へ腰掛けた。
第116話 心の傷跡の治療も→←第114話 顔と心に残る傷跡
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桜月(プロフ) - うめこんぶさん» わわ!ご指摘ありがとうございます(;´Д`A 引き続き、良い小説が書けるよう頑張ります!よろしくお願いします!d( ̄  ̄) (2018年12月23日 1時) (レス) id: 3c689d561d (このIDを非表示/違反報告)
うめこんぶ(プロフ) - 更新ありがとうございます!126話と127話が抜けてると思いました。これからも楽しみにしています! (2018年12月23日 1時) (レス) id: 0ab6ffd78b (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - ぱにぱにこちゃんさん» コメントありがとうございます・:*+.\(( °ω° ))/.:+ ゆるゆるっとですが、更新しますのでぜひ!よろしくお願いいたします♪ (2018年12月1日 1時) (レス) id: 3c689d561d (このIDを非表示/違反報告)
ぱにぱにこちゃん(プロフ) - 更新待ってますっ! (2018年6月17日 7時) (レス) id: e09c37547f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SORA | 作者ホームページ:https://twitter.com/SORA_39xx
作成日時:2018年5月29日 19時