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「…ん?」
「ですから､認めます」
暫く呆然としていた柊さんは､混乱した｡
目を覚まして一番に言われれば､理解が追い付かないのも当然だろう｡
「なっ､ありがたいが納得できないぞ!」
「「(ありがたいと言ってしまうのか…)」」
降谷さんは苦笑いを浮かべると､ネクタイを緩めて襟を開いた｡
「意識を失った状態で､急所を狙う｡一本とられました｡僕の敗けです」
「そんなものカウントされるわけ…!」
「表情が豊かになりましたね」
降谷さんがそういうと､柊さんの動きが止まった｡最初､記憶が無くなった時の柊さんは､本当に声に抑揚は殆どなくて､人形のようだと思ったのを覚えている｡
表情は今よりも分かりやすかったけれど､それは今よりずっと幼さがあった｡
表情が豊かになった｡
それは強さを孕んだ表情が多くなったということだろうか｡
「貴方をそうさせたのは､間違いなくあの男です｡だから早く奴のもとへ戻り､名前を呼んでもらってください」
僕が呼ぶわけにはいかないから｡
後ろにその一文がついた気がした｡
きっと降谷さんなりの線引きなのだ｡
「…ありがとう､安室さん､風見さん」
「あの…柊さん?」
「私は間違ったことは言っていない｡どんな名前でも貴方は貴方だろう｡それに､安室さんじゃなければ会ってくれないだろう?」
あぁ､この人はそういう人なのだ｡
線引きをしてもそれを乗り越えてくる｡
そして触れられたくない場所には触れない｡
私たちが公安警察であった事実などなかったように､降谷さんが危険な目に遭った理由を掘り返すことなどせずに､ただ一人の人間として向き合ってくれる｡
きっとそういう人だから｡
「一つだけ､貴方に聞きたい｡……僕の周りにいると､不幸になる｡今までだってそうでした｡大切だと思ったら､必ず死が訪れる｡今回も近いことが起きました」
柊さんは真っ直ぐに降谷さんの目を見て､トンと自身の手を胸に当てた｡
「此処に一人､不幸じゃない人間がいる｡此処に､貴方に生かされた人間がいる」
「貴方が居た場所で､貴方のせいで不幸だと嘆いた人間は居たか? 私は､風見さんは､梓さんは､コナン君は…もう会えない人達は､そんなことを言ったか?」
「孤独を知っている｡置いていかれる悲しみも知ってる､痛いほど｡きっと貴方ほどじゃあないだろう｡一人で立てないこともある」
「だから､人は手を貸してもらうんだ」
彼女は降谷さんの手を引いて､その場に立った｡
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ユキ(プロフ) - さちさん» コメントありがとうございます｡個人的にとーる君は書いていて楽しいので､この話が一段落しても出てくるかもしれません(￣∇￣*) (2019年3月29日 22時) (
レス) id: 370884fb03 (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろかったです。続きがすごく気になりました。よろしくお願いします。 (2019年3月29日 22時) (レス) id: 1af3590574 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 奈楠さん» ありがとうございます。学業も忙しくなりますので更新ができない日々もあると思いますが、作品をよろしくお願い致します。コメント嬉しいです(о´∀`о) (2019年3月15日 12時) (レス) id: 370884fb03 (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - 受験お疲れ様です！！！作者様のペースで大丈夫ですよ！更新頑張ってください！ (2019年3月14日 21時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - 明里香さん» 教えて下さりありがとうございました!修正しました｡閲覧ありがとうございます｡ (2018年8月3日 7時) (レス) id: 5d51fce380 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユキ x他1人 | 作成日時：2018年5月20日 18時
