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「楓…人名ですか。……どうやら心当たりがあるようですね、赤井」

降谷が確信を持って言った。
赤井は震えそうになる声を一度飲み込んでから、把握した事を告げた。

「Aは記憶は今、十歳にも満たない所までしかない」
「何故貴方にそれが分かるんですか?」
「確か彼女が十歳の頃…子供の頃に、彼は亡くなった筈だからだ。それを忘れたのだとしたら、もし記憶を取り戻してしまったら」
「その事実も思い出すでしょうね」

おかしいとは思っていたのだ。
最近のAは表情豊かになってきていたとはいえ、記憶を失ってからというもの、前よりも表情が出やすくなった。

「貴方が強情なのは知ってます。不本意ですが貴方がなにを考えているかも、次にどうするかも想像がつく」

赤井が独自に作ったファイルを見て、犯人の足取りが掴めてきている事を察した。

「僕だけならまだしも、彼女を巻き込んだ馬鹿を縛り上げたら、それはFBIの手柄で構わない。日本警察としては、おこぼれの情報で手を引きます。図々しいですが僕が望むのは」

どん、と赤井の心臓の辺りに拳をぶつける。

「貴方と柊さんが、お互いが納得できる結末です」

赤井は思い出した。降谷に言われた言葉。
[不幸にしたら殺す]と言われたこと。

「二人が、幸せになれる結末を望みたい」
「…ありがとう」

様子を見てきます、と、降谷は部屋を出ていった。



「思い出したいですか、記憶」

風見は訊ねた。
降谷が一人で苦しんでいるのを、部下である風見は気付いていたのだ。

彼女が重体で運ばれてきてから、降谷は表には出さないものの、明らかに気を落としている。
前にも以前、似たようなことがあった。
確か、水戸部花が自首した米花町での傷害事件があった頃。

「思い出した方が、いいとは思う。けど、思い出したら…思い出してしまったらきっと、痛いことや、苦しいことが、辛いことが沢山あるような気がする。…どうしてか分からないけど、父さんと母さんが死んだときみたいに、また誰かを…ッ!」
「落ち着きましょう」

いつの間にか立っていた降谷が、Aの肩に手をのせた。その温かさに、Aの頭に電流が走ったように沢山の出来事がフィルムが流れるように、アルバムを高速で捲るように瞬間的に思い出しては消える。

「…っあ"……!?」
「風見、医者を!」
「はい!」

激しい頭痛と吐き気の中、Aは思った。
この声じゃない。
この温もりじゃない。


じゃあ私は、誰を求めてる?

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ユキ(プロフ) - さちさん» コメントありがとうございます。個人的にとーる君は書いていて楽しいので、この話が一段落しても出てくるかもしれません( ̄∇ ̄*) (2019年3月29日 22時) (レス) id: 370884fb03 (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろかったです。続きがすごく気になりました。よろしくお願いします。 (2019年3月29日 22時) (レス) id: 1af3590574 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 奈楠さん» ありがとうございます。学業も忙しくなりますので更新ができない日々もあると思いますが、作品をよろしくお願い致します。コメント嬉しいです(о´∀`о) (2019年3月15日 12時) (レス) id: 370884fb03 (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - 受験お疲れ様です!!!作者様のペースで大丈夫ですよ!更新頑張ってください! (2019年3月14日 21時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - 明里香さん» 教えて下さりありがとうございました!修正しました。閲覧ありがとうございます。 (2018年8月3日 7時) (レス) id: 5d51fce380 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユキ x他1人 | 作成日時:2018年5月20日 18時

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