私の命で。【マクロスΔ】

【１４】 ページ23

Aside

「危ない！」

突然私の耳に飛び込んできた鋭い声と、突き飛ばされた感覚が、私を現実に引き戻した。

突き飛ばされてじんじんと痛む身体を起こして見てみると、そこには、


ヴァールと、


死んだ母親の姿があった。
側には、母親を止めようとして巻き込まれてヴァールに襲われたのであろう、父親の骸もあった。


どうして。

幼い私には、理解出来なかった。
いや、理解したくなかった、だけだ。

その証拠に、心の奥底では、殺……された親友と、それを見て硬直してしまった私を見つけた母親が、せめて私だけでも助けようと、私をかばって死んだのだと。
そう、理解出来てしまっていたんだ。

幼くてもそのくらい瞬時に理解出来てしまう程には頭が良かった私は、誰のせいで3人が死んだのか、考えてしまった。

私だ。

全部、私のせいだ。

大地震とヴァール発生が同時に起きなければ、とか。

そもそも、ヴァールが近くに発生しなければ、とか。

そんなの、違う。

全部、私のせい。

もっと早く振り返っていれば。

もっと私がヴァールの近くにいれば。

私が硬直してなければ。

この日に親友と会っていなければ。

何か、変わっていたかも知れない。親友と両親は、犠牲にならずに済んだかも知れない。
可能性は、いくらでも出てくる。

親友と両親だけじゃない。
この事件は、他にも沢山の方々が犠牲になった。

それなのに。私は、その場所にいたというのに。私は、誰一人として救うことが出来なかった。

救えたかも知れなかったのに、何も出来なかった、しなかったなんて、見捨てた同然だ。

なら、私は。そんな私は、もはや。

ヒトゴロシ。

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