私の命で。【マクロスΔ】

【９】 ページ17

Aside

外が暗くなっていくごとに暗くなっていくリアンちゃんの表情。
そんなもの見たいはずがなくて、私はこんな質問をしてみた。

「ねぇリアンちゃん、さっきワルキューレが歌い始めた時、すっごく嬉しそうだったけど、好きなの？」

「うーん。っていうか、きれいなうたがすきなの！だから、ワルキューレがすきっていうより、ワルキューレがうたう、うたがすきってかんじ。Aちゃんは？」

「私は、ワルキューレに昔助けてもらったから、ワルキューレが好きだよ。ワルキューレみたいになりたいとさえ思ってる」

「そうなの？じゃあ、このまえあったワルキューレのあたらしいメンバーのオーディションも、うけたんだね！」

「……ううん。私の住んでいたところは田舎だったから、オーディションがあるのは知ってたけど、何日にあるかっていう情報を知るのが遅くて、応募が間に合わなかったの」

ごめんね、リアンちゃん。また嘘をついちゃった。
私はワルキューレが好き。そして、なりたい。

私が住んでいたところは確かに田舎だったけど、オーディションが何日にあるかなんて重大なニュース、なんとしてでも手に入れた。
オーディションには応募したし、最後オーディションまで残った。

最終オーディションがあった日。

それは、親の命日であり。

『あの事件』があった日だ。

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