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着替えてくる、と取り残されていたら肩を叩かれた。
「翔太くんじゃない」
「あ、え!?佐久間のお父さん!?」
「こんなとこで会うとは。Aちゃんと知り合い?」
「家、同じアパートで隣に住んでて」
「そうだったんだ。なんか世間って狭いねぇ」
「…ほんとっすね」
「…好きなの?」
「車ですか?」
「んーん、あの子」
小声で言われてよくわからない声が漏れる。
佐久間のお父さんはにやけ顔。
「いや、あの、」
「いい子だもんねぇAちゃん」
「…」
「そういえばここ数日で少し変わったんだよ、あの子」
「変わった?」
「社長…あ、あの子のお父さんね。よく話すところを見かけるようになったし、前ほどウザがってないというか。反抗期終わったのかなーって思ってたけど…」
もしかして翔太くんのおかげ?と顔を覗き込まれた。
「俺は…なにもしてないですよ」
「そう。大介は学校でどう?」
「…全校生徒の中で1番うるさいっす」
「元気なのはいいことだ。これからも大介のことよろしくね」
「はい」
「…Aちゃんのことも」
「…!」
佐久間のお父さんが離れていって少しすると出てきたA。
見覚えのあるピンクの箱を取り出してごく自然に1本口に咥えた。
そこで俺と目が合ったら火をつける前にフリーズして煙草を口から外す。
「…俺、何も見てない」
「え、」
「…」
「帰る前に、ちょっとだけいい?」
Aに手招きされてやってきた事務所の裏。
こんなとこ、俺が入っていいわけないのに止める人は誰もいなかった。
西日が眩しいベンチに並んで腰掛ける。
なるべく彼女を気にしないように俯いて自分の手を見つめる。
カチッと音がしてすぐに漂う桃の香り。
ちらりと彼女を盗み見ればまっすぐに前を向いていた。
視線の先にはおっちゃんが言っていた高校の校舎。
「高校、行きたい?」
前にも似たような質問をしたからしつこいと思われるかもしれない。
だけどおっちゃんの話を聞いたら聞かずにいられなかった。
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涼-suzu-(プロフ) - 白昼夢さん» はじめまして。コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです。こちらこそこれからも涼さんの作品を愛してあげてくださいませ( ˶'ᵕ'˶ ) (2023年3月31日 15時) (レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢(プロフ) - 初めまして!新作待ってました( ; ; )ずっと陰ながら応援させていただいて、、凉さんの作品全部読み漁るほど大好きなんです(´༎ຶོρ༎ຶོ`これからも素晴らしい作品お待ちしてます!頑張ってください!!! (2023年3月31日 0時) (レス) id: 40e11ba78b (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - 茉子さん» 泣かせてしまってごめんなさい(´;ω;`)いつも私の作品を読んでくださってありがとうございます。私も大好きです! (2023年3月28日 23時) (レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - シラユキ。さん» ツンデレとツンデレのコラボ(?)です!幸せにするんで一生ついてきてください(もはやプロポーズ) (2023年3月28日 23時) (レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
茉子(プロフ) - 泣いたんですが😭子どもへの気持ち分かるだけに…続きも楽しみです。涼さんの作品全部読んでます☆大好きです😊 (2023年3月28日 18時) (レス) @page24 id: 0c861b61c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涼-suzu- | 作成日時:2023年3月26日 15時