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照があんなこと言うせいで会って謝りたいのに会いたくなくなってきた。
「でも、食べなきゃもったいないし」
この時間だからおっちゃんと一緒にいるかもしれないし、謝るだけ謝ってケーキ渡して帰ればいいか。
ケーキを持って隣の家のインターホンを鳴らす。
まだしばらく雨は止みそうにない。
「…はい、」
「おす」
Aが少し顔を覗かせて、俺だとわかったら更にドアを開けてくれた。
少し湿った髪とぶかぶかなスウェット姿にお風呂上がりなことを悟る。
「おっちゃんは?」
「トラブルで、まだ仕事」
「そっ、か…。ん、これ」
「…ケーキ?」
「バイト先でもらった。今日までだからおっちゃん帰ってきたら2人で食べなよ」
「…?」
「あーいや、なんつーかこれはついでで…実は、」
そこまで言うと外が激しく光って目が眩む。
後ろを振り返ったら続けて大きな音がして、これは割と近くに落ちたか。
「あーびっくりした。結構…あれ?」
前を向いたらさっきまでいたはずのAが消えている。
パッと下に視線をやればしゃがみこんで耳を塞いでいた。
「大丈夫か?」
同じように隣にしゃがみこむと玄関のドアがバタンと音を立てて閉まる。
彼女の手は震えていた。
「もしかして雷、怖い?」
彼女は体勢をそのままに小さく頷いた。
「家あがっていい?」
「…うん、」
彼女を支えてリビングへ。
失礼しますとキッチンの冷蔵庫にケーキを入れた。
彼女はソファーの上で身を縮こまらせて震えている。
そこでまた雷の音がして、強く目を瞑ってビクッと体を震わせた。
「大丈夫」
「…!」
「俺がいるから、大丈夫」
考えるよりも先に彼女を抱き寄せていた。
今この子を守れるのは自分しかいない。
「翔太、」
掠れた声で俺の名前呼んだ。
そして俺の胸元をくしゃりと掴んでさらに距離を詰めてくる。
そこで冷静になった俺はとんでもない事をしてしまったと少し後悔。
守るにしたってもっと他にあっただろう。
なんで抱きしめてしまったんだ。
でもここまでしておいて突然突き放すのも…。
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涼-suzu-(プロフ) - 白昼夢さん» はじめまして。コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです。こちらこそこれからも涼さんの作品を愛してあげてくださいませ( ˶'ᵕ'˶ ) (2023年3月31日 15時) (レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢(プロフ) - 初めまして!新作待ってました( ; ; )ずっと陰ながら応援させていただいて、、凉さんの作品全部読み漁るほど大好きなんです(´༎ຶོρ༎ຶོ`これからも素晴らしい作品お待ちしてます!頑張ってください!!! (2023年3月31日 0時) (レス) id: 40e11ba78b (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - 茉子さん» 泣かせてしまってごめんなさい(´;ω;`)いつも私の作品を読んでくださってありがとうございます。私も大好きです! (2023年3月28日 23時) (レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - シラユキ。さん» ツンデレとツンデレのコラボ(?)です!幸せにするんで一生ついてきてください(もはやプロポーズ) (2023年3月28日 23時) (レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
茉子(プロフ) - 泣いたんですが😭子どもへの気持ち分かるだけに…続きも楽しみです。涼さんの作品全部読んでます☆大好きです😊 (2023年3月28日 18時) (レス) @page24 id: 0c861b61c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涼-suzu- | 作成日時:2023年3月26日 15時