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「ほら、めちゃくちゃ美味そうなカレーできたぞ」
トレーに私の分のカレーとサラダを乗せようとする手を止めた。
「ん?」
「いい」
「いや、さすがにカレー皿素手で部屋に持ってくのは熱いぜ?」
「ちがう」
「…」
「リビングで、いい」
「え」
「…食べよ」
「ねえ本当にいなくなったり、」
「しないから。別にそんなんじゃないから」
「…本当に?最後の晩餐的なやつじゃないよね?」
「違うって」
朝、あの人は忙しなく動いているからご飯は1人で食べる。
お昼もみんなは事務所だけど私は事務所の裏のベンチで。
そして夜ご飯は、部屋にこもって1人で食べる。
彼の作ったご飯を食べている姿を見られたくないから。
だけど今日は…。
「いただきまーす」
「…いただきます」
「…」
「…そんな、見られたら食べづらい」
「気にしないで食べて」
気になるっつの。
そう思いながらも意を決してカレーを口に運んだ。
「…!」
「…は、なんで泣いてるの」
「美味そうに食うなと思って」
「…美味しいから、仕方なくない?」
「んもう、お口についてますよ」
「ウザい、自分で取れる。ていうか…お父さんも早く食べなよ」
「A、」
「やめて抱きつかないで、暑苦しい」
「むり、パパちょっとむり」
「知らんよ」
左肩が濡れるのを感じながらもカレーを口に運び続けた。
「明日の朝ごはん、Aの大好きなフレンチトーストにするね」
「別にフレンチトースト好きとか言ったことないけど」
「絶対、食べてよ」
「…だから、いなくなったりしないってば」
「…」
「めそめそしないではよ食え、おっさん」
「うん、そうだな。あったかいうちに」
初めて見たこの人の涙に、少しずつ向き合って受け入れていこうと決めた。
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涼-suzu-(プロフ) - 白昼夢さん» はじめまして。コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです。こちらこそこれからも涼さんの作品を愛してあげてくださいませ( ˶'ᵕ'˶ ) (2023年3月31日 15時) (レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢(プロフ) - 初めまして!新作待ってました( ; ; )ずっと陰ながら応援させていただいて、、凉さんの作品全部読み漁るほど大好きなんです(´༎ຶོρ༎ຶོ`これからも素晴らしい作品お待ちしてます!頑張ってください!!! (2023年3月31日 0時) (レス) id: 40e11ba78b (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - 茉子さん» 泣かせてしまってごめんなさい(´;ω;`)いつも私の作品を読んでくださってありがとうございます。私も大好きです! (2023年3月28日 23時) (レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - シラユキ。さん» ツンデレとツンデレのコラボ(?)です!幸せにするんで一生ついてきてください(もはやプロポーズ) (2023年3月28日 23時) (レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
茉子(プロフ) - 泣いたんですが😭子どもへの気持ち分かるだけに…続きも楽しみです。涼さんの作品全部読んでます☆大好きです😊 (2023年3月28日 18時) (レス) @page24 id: 0c861b61c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涼-suzu- | 作成日時:2023年3月26日 15時