夢色キャラメリゼ

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＿


「こら未成年」


「…出た」


「出たってなんだよ」


「さっきぶり」


「…煙草、やめとけよ。寿命縮むぞ」


「いい」


「よくないだろ」


「いいの」



生を受けた者は必ず死が訪れる。


何事もなく平和に健康に過ごしていけば、あの人が先に私の前からいなくなる。


耐えられる気がしない。


あの愛情に応えて、私も愛を返して。


家族と認めてしまったら別れが苦しくなる。


だから私はあの人を冷たくあしらって、あまり関わらないようにしている。


いつか訪れる別れが、なるべく悲しみを覚えないように。


またひとりぼっちなんだという孤独感に苛まれないように。


ただ私が生きるためにご飯を提供してくれている同居人。


そう思えば苦しみは最小限で済む。


それにこの煙草で寿命縮まれば、私が先にあの世へいくか、もしくはあの人が先にいなくなったとしてもひとりの時間が短くなるから。



「だからやめろ」


「…」



手が伸びてきて煙草を奪われた。


翔太の姿が消えて、きっとベランダのコンクリートでもみ消しているのだろう。



「猫飼ってるんだから、猫より先に死なれたら誰が世話すんだよ」


「…!それは、」



そう言われてハッとした。


たしかに、ユキは責任持って最後まで守らなきゃいけない。



「それにおっちゃんが悲しむぞ」


「…なんで、」


「当たり前だろ?親より子どもが先に死ぬなんて、普通じゃありえないことなの」


「普通…」


「生まれた時から成長していく姿を見て、立派になったんだなって。それをちゃんと見届けてから親は自分の役目を終える。その前に子どもがいなくなったら、一生治ることのない心の傷が深く深く残ってくんだよ」


「…」


「生まれつき病気でとか…世の中にはそういうこともあるけどお前はそうじゃない。健康に生まれてきたのに自ら命を痛めつけてる。そんなの親不孝だ」


「だからあの人は別に、」


「血が繋がってることだけが親子のかたちなのか?」


「…!」


「…あー、わり」


「いや、」

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