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ご飯を食べてる時もお風呂に入っている時もなかなかいい名前が思い浮かばなくて、また明日にしようと寝る前にベランダで一服。
あの人がそのへんに放置しているタスポでこっそり買った煙草。
桃の絵が描かれたピンク色の箱から1本取り出して火をつけた。
大きく息を吐き出したらふんわりと桃の香り。
そこでとなりの住民もベランダに出る気配がした。
気にせずに続けていたら仕切りからひょこっと現れた、見知った顔。
「あ、」
「…え、翔太?」
「おう、」
「どっかで見たことあると思ったら隣に住んでる人だったか」
再び紫煙を吐き出して空を眺める。
「20歳、越えてたっけ」
「んや今年で16」
「よくそんな堂々と吸えるな、煙草」
「翔太もいる?」
「…遠慮します」
「そ。えらいじゃん、ちゃんと断れる人なんだ」
最後の煙を吐き出して灰皿に押し付ける。
もう1本吸おうとしてやめた。
「なめてんの?てかお前年下のくせに、」
「A」
「…え?」
「私の名前、A」
私の名前を繰り返し呼んでこちらに視線を向ける。
「なあ」
「んー?」
「高校生なんじゃねーの?1年でその髪色はまずくね?」
「心配してくれてるの?」
「心配、っつーか…」
「大丈夫だよ。私、高校行ってないから」
「…!」
「中学卒業してからそのままあっこで働いてる。まあ資格も学歴もないからただの洗車のバイトだけど」
翔太は少し黙ってあの人へと話題を切り替えた。
きっと気を使ってくれたのだろう。
「つーかおっちゃんは?」
「知らん。パチンコだよどうせ」
「…」
「負けてばっかりのくせに、なにが楽しくてあんなうるさいとこ行くんだろうね。ばかみたい」
「お前さ、たまにはおっちゃんと話してやれよ」
「なに急に」
「大事な親父さんのこと、毛嫌いすんなって言ってんの」
親父、ね。
「あんなん、親父でもなんでもない」
「ふは、ひでーやつ」
「本当のことだし」
あの人は私の家族じゃない。
「翔太」
「翔太くん、な」
「は、ちっさ」
「…ちっ、!?」
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涼-suzu-(プロフ) - 白昼夢さん» はじめまして。コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです。こちらこそこれからも涼さんの作品を愛してあげてくださいませ( ˶'ᵕ'˶ ) (2023年3月31日 15時) (レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢(プロフ) - 初めまして!新作待ってました( ; ; )ずっと陰ながら応援させていただいて、、凉さんの作品全部読み漁るほど大好きなんです(´༎ຶོρ༎ຶོ`これからも素晴らしい作品お待ちしてます!頑張ってください!!! (2023年3月31日 0時) (レス) id: 40e11ba78b (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - 茉子さん» 泣かせてしまってごめんなさい(´;ω;`)いつも私の作品を読んでくださってありがとうございます。私も大好きです! (2023年3月28日 23時) (レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - シラユキ。さん» ツンデレとツンデレのコラボ(?)です!幸せにするんで一生ついてきてください(もはやプロポーズ) (2023年3月28日 23時) (レス) id: 6a2e5ac073 (このIDを非表示/違反報告)
茉子(プロフ) - 泣いたんですが😭子どもへの気持ち分かるだけに…続きも楽しみです。涼さんの作品全部読んでます☆大好きです😊 (2023年3月28日 18時) (レス) @page24 id: 0c861b61c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涼-suzu- | 作成日時:2023年3月26日 15時