戻れないから

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＿


「…翔太くん、なんで?」

「っ、」


その子はズンズンとこっちへ歩いてきて翔太にギュッとしがみつく。


「なんでずっと連絡返してくれないの?」

「…なんでここに、」

「私の質問に答えてよ!」


どういうこと?

何が起きてるの?


「俺ら別れたじゃん、とっくに」

「別れてないもん!私、別れることに同意してない!」

「いやいや…」

「ずっと探してたの。やっとここ見つけて…。翔太くんやだよ。私別れたくない。まだ別れてない!」


どうしよう。

頭の中が整理できない。

これって…修羅場ってやつ?


「ちょっと落ち着いて?一旦離れよ?」

「やだ!離れたくない!」

「一応ほら、俺仕事中だし…な?」


この子と翔太は付き合ってる?

でも翔太は私と付き合って…。

いや、待てよ。


「…この人誰?」

「この人は、」


同窓会があったあの日を思い返すけど、翔太から好きとか付き合おうとか言われてない。

あの頃に戻ってみる?みたいなことは言われたけど…。

それが付き合おうっていう意味とは限らない。

もしかして私ってこの4ヶ月、翔太にとって都合のいい女だった?


「私はただの同級生だから、ごめんね。…彼女さん」

「は、ちょ、」

「…また来る」

「おい、A!」


私は翔太のお店を出て走った。

自分の家に帰って、靴も脱がないまま玄関の壁にもたれてズルズルと座り込む。

翔太と付き合ってるって思い込んでた。

涼太にも康二くんにも翔太は彼氏だって公言しちゃった…どうしよう。


「…めちゃくちゃイタイやつじゃん、私」


しばらくそこから動けずに、声を殺して久しぶりにひとりで泣いた。

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