戻れないから

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＿


「…その画像みたいな感じが俺に似合いそうって思ってんだよね?」

「そうだよ?」

「じゃあ、それにする。…だから」

「…だから?」

「…ちゃんとかっこいいって褒めろよ」

「あはは!了解です」


翔太のサラサラでストレートな髪を掬って程よい長さに切っていく。

伸びきったサイドと後ろの刈り上げも復活させて触り放題。

この感触、好きなんだよね。

夢中で触ってたら鏡越しに翔太と目が合って睨まれた。

ドキドキしながらパーマされる翔太を見て私までドキドキが移る。

最後にシャンプーとドライヤーをしたらもう帰るだけだけど…仕上げにちょっとスタイリング。


(center:「はい、完成」

「…なんか、すげぇ」


パーマがかかった髪を手のひらで恐る恐る触って何かに感動している翔太。


「せっかくいい顔してるんだから、こうやって前髪わけておでこ出してるほうが…かっこいい」

「…!ん、わかった」

「お疲れ様でした」

「ありがと」

「こちらこそありがとうございます」


預かっていた荷物を渡してお会計を済ませてお見送り。


「まだ仕事あんの?」

「あと1時間くらいかな」

「…待ってていい?」

「え、そんな申し訳ないよ」

「待ちたいの、俺が。だめ?」

「別にだめじゃないけど…」

「一緒に飯食いたい。あと、今日泊まって」

「…うん。わかった」

「適当にその辺いるから、仕事終わったら連絡して」

「うん」

「じゃ、もうちょい頑張って」


一度だけ頭に手を置いてその手をひらひらと振ってどこかへ行ってしまった翔太。

人混みに消えた翔太をボーッと見つめて、触られた頭に自分で触れる。

私、自分が思ってるより…翔太のこと好きなのかも。

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