戻れないから

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翔太がお風呂に行って1人になったリビングでソファーに倒れ込む。

そして今日の同窓会のことを思い出した。

みんな幸せそうで、楽しそうで…ちょっと羨ましかった。

別に今の生活に不満があるわけじゃないけど、満足しているわけでもなくて。

私だって…普通に恋愛したいって思う。

この年齢になっても。

だから髪も伸ばしたし、メイクも頑張ってそれなりに女の子らしくして…学生の頃よりは男性から異性として見られるようにはなった。

だけど中身はそう簡単に変わるものじゃなくて、今までの元カレとのことを思い返せば恋愛らしい恋愛はしてないかも。

まあ恋愛らしい恋愛をする前に彼の難癖に我慢できず別れたっていうのもあるか…。


「ほんとに楽しかったな。…あの頃は」


気づけばそのままソファーで眠ってしまっていた。


「おーい」

「…ん、あ、寝てた」


翔太の声で目を覚ますと目の前にはお風呂上がりで頭からバスタオルを被った彼。

まだボーッとする頭で彼を見つめてゆっくりと体を起こす。

彼と再会したせいかひどく懐かしい夢を見た。

高校の頃翔太に告白された夢。

翔太が照れながらたどたどしく伝えてくれた好きという言葉。

それに対して、当時はなんとなくで付き合ったけれど夢の中の私は翔太に恋する乙女で嬉しそうだった。


「…大丈夫?」

「まだ、あたまがボーッとするだけ」

「冷蔵庫なんか飲み物入ってる?取ってこようか?」

「…」


なんだろう。

無性に甘えたい。

抱きついたら抱き締め返してくれて頭撫でるおまけつき、みたいなのほしい。

さっき1人でいろいろ考えてた上に翔太の優しさがそうさせてるのかもしれない。

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