Sweet Sunny! (ページ30)

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あれから月日が流れ、高校生最後の春がやってきた。

「っくしゅ!」

「大丈夫?」

「花粉が…あかん」

「大変やなぁ、花粉症」

とある日の放課後、康二くんと2人でガーデニングスペースへ向かう。

「…お?」

「ん?」

「A、関西弁移ってるで」

「え!それはまずいって」

「なんでよ!かわいいやん俺色に染まってるみたいでさ」

「…」

「なんか言えや!」

「あ、見て康二くん!パンジー咲いてる!」

昨年植えたパンジーが綺麗にオレンジの花を咲かせていた。

康二くんを見ると唇を尖らせている。

康二くんがこれをするのは拗ねてる時か照れてる時｡

これは…拗ねてる方だな。

「ふふ、ごめんって」

「いやや」

「ねぇー機嫌直して?」

ふと風が吹いてパンジーが揺れる。

「このパンジー、康二くんみたいな色だね」

「ん?」

「太陽みたいな、ビタミンみたいな…なんて言うんだろう。キラキラしたオレンジ」

私の中で康二くんはそういうイメージだよと伝えるけど反応がない。

「ねぇまだ拗ねて…っ」

康二くんの方を見れば目の前に顔があって、唇に柔らかい感触。

「隙ありやで」

「…」

「もう何回もキスしてるやん。なんでそんな顔真っ赤なん?」

「…慣れない、の。学校だし、ここ」

「むっちゃ可愛ええな」

「康二くんのばか」

「え、ちょ、え、A!?ねえ!待って!待ってぇなぁ〜!」

走って逃げるもすぐに追いつかれて、捕まえたと手を握られる。

笑いながら帰る私たちの後ろでは隣同士に咲いたパンジーがそっと寄り添っていた。

Fin