１８ ページ18
私が緊張してるせいか、
櫻井リーダーがくすって笑った。
「Aちゃん、いつもすごい頑張ってるし。
ちょっと正義感強過ぎるのか、
暴走するとこあるじゃん？
そういうとこがさ、
なんていうか。
気になっちゃって。
気付いたら、目で追うようになってて・・・
俺、好きなのかもって。
思うようになってた」
告白？
なんかな？
「ありがとうございます」
そう答えた時に、
ワインが運ばれてきた。
それきり、その話はおしまい。
食事は美味しいし、
櫻井リーダーは話題が豊富で、
いろんな話してくれて。
ほんまなら、楽しくて、
嬉しくて、
ときめき過ぎる場面やのに。
デザートのケーキを食べてる途中で。
櫻井リーダーが、少し苦笑いした。
「そんなに安田が気になる？」
「え・・・」
「Aちゃん、ずっと心ここにあらずだから。
本当はこの後、お酒でもって思ってたけど・・・」
手にしてた紅茶のカップを、
櫻井リーダーが置いた。
私のこと、じっと見つめて。
「好きならさ、ぶつかった方がいいよ？
後悔しないように」
そんなこと、言う。
「あの・・・」
「今日は付き合ってくれてありがとう。
楽しかった」
櫻井リーダー、伝票を持って立ち上がる。
「タイミングってあるから。
一つずれたら、
運命って、簡単に変わっちゃうんだ。
今ならまだ間に合うよ」
腕時計を見ながら、言う。
今なら・・・
ほんまにまだ間に合うん？
「櫻井リーダー、あの、ありがとうございました」
「いや、これは資料のお礼だから。
気にしないで」
最後までなんてかっこいい人なんやろ。
ありがとう、って。
背中を見送りながら、思ってた。
章大に電話したけど、出てくれへん。
電源、入ってないみたい。
次につながった時には、
話し中やって。
今日中に会われへんかったら、
もう終わってしまう気がして怖い、
今更、ルミナリエに行ったって、
あんなすごい人混みで、
見つかるわけないし・・・
気付いたら、この前のバーに足が向いてた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 906人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：fool x他1人 | 作成日時：2017年11月16日 21時
