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何も言わずに去るのもアレなので、
私はドアからヒョコッと顔を出した。
「ご、ごめんね。
…聞く…つもりじゃ無かったんだけど…」
仁王は、私の姿を見て驚いたような表情をし、
丸井君は気まずそうに視線を外した。
「あ、これ。ありがとね。
ここ、置いとくから」
そう言って手にしていた教科書を、近くにあった誰かの席へ置いた。
その時、ポタッと何かが落ちた。
涙だ。
生温い感覚が私の手の甲に落ちた。
あれ、泣いてる?…誰が…?私が?
「あれ…?可笑しいなぁ…
なんで泣いてんだろ…ハハハ…」
乾いた笑いが口からこぼれ出た。
言葉を発している間も、ポタポタと涙が溢れる。
ほんと、なんで泣いてんだろう。
理由は分かっていたけど、信じさせないように、自分を守るように私は目をこすった。
ゴミでも入ったのか?
そうだ。
ゴミでも入ったのだ。
そう自分に言い聞かせた。
「あ…じゃ、じゃあまた明日ね!」
私はそう言うと、クルッと二人に背を向けた。
「待ちんしゃい…!!」
ガタッと席を立つ仁王だが、私はその言葉に従わずに、その場を離れた。
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幸絵(プロフ) - 初めまして、コメント失礼致します。完結まで書いてくださりありがとうございます。もしできたらでいいので続編など書いていただけたらすごく嬉しいです!とりあえず、お疲れ様でした<(_ _)> (2022年7月19日 7時) (レス) @page39 id: 23b9936184 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:流星群 | 作成日時:2021年1月9日 16時