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小さい頃に、あの子と口ずさん
でいたメロディ。仁王があの子
だと確信できるのは、このメロ
ディに歌詞を入れることだった。
閉じていた目を、ゆっくりと開けた。
仁王は、パッと顔をあげて何か考える
と口を開いた。
「むかし〜この地に〜
雨が降り注ぎ〜
1人の若者が〜天に昇った〜」
仁王は少しずつ歩き出した。
私は静かに瞳を閉じながら唄う。
「ラ〜ラ〜ラ〜ララララ〜」
「そして〜雨がやみ〜」
私のメロディに重ねるようにして
仁王は唄った。
あぁ…仁王は…
「空に虹がかかった」
私はそう呟き、そっと目を開けた。
この唄は、祖母の神社やその地域で
唄われる子守唄の前奏みたいなやつ。
昔話の伝説を唄に変えたものだった。
あの岬で、あの子とよく唄っていた。
だから、あの子じゃなきゃ歌詞は分か
らないはず。だってここに、あの地
域出身の人は少ないからだ。
「懐かしいのぅ…」
仁王は優しく笑った。
あの子と同じ、笑い方だった。
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幸絵(プロフ) - 初めまして、コメント失礼致します。完結まで書いてくださりありがとうございます。もしできたらでいいので続編など書いていただけたらすごく嬉しいです!とりあえず、お疲れ様でした<(_ _)> (2022年7月19日 7時) (レス) @page39 id: 23b9936184 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:流星群 | 作成日時:2021年1月9日 16時