8話『狐と優しい雨』(中) ページ29
レイ｢まず、親に報告すること。それと、仮決定として１回俺たちと一緒にバトルすること。この2つが出来たら正式にメンバーにコハクを入れようと思う｣
コハク｢親…ですか｣
レイ｢簡単なことだ、万が一反対されたら仮決定の期間が長くなるだけだからな？｣
コハク｢…分かりました。｣
レイ｢…んじゃ、帰るとするかー｣
2人が話を終わる頃にはもう日が落ちかけ、空が橙色に染まっていた。
コハクとレイは家に帰った。当たり前のようにミカとリトが待っていた。コハクは1度階段を登り、空き部屋に入り、親へ電話をすることにした。
コハク｢もしもし、お母さんですか？コハクです｣
[コハク、もうゲームには飽きたの？]
コハク｢いや、お母さん。飽きるどころか寧ろワクワクしてます。まだ戦ったことがないんですが、私に手を差し伸べてくれた恩師がいるのです。その方が｢私のチームに入らないか｣と言ってくれたんです…お母さん。私はその方のチームに入って協調性を磨きたいです。習い事を積極的にさせてくださったお母さんの気持ちも分かりますが｣
コハクの主張はコハクの母によって遮られた。
[コハク。]
コハク｢…は、はい｣
コハクは一瞬頭の中に｢諦める｣という文字が浮かぶ。冷たく刺さるような口調に怯えてしまう。
[貴女はまだ子供ね。でも、それがいいのかしら。私がコハクに無茶をさせてるような気がしたの。コハクがそう言うなら、仕方ないわ]
コハク｢な、なら…私はここにいていいですか？｣
[いいわ。]
コハク｢やっ…やった…！｣
[でも、コハク。]
コハク｢は、はい｣
[その方の住所を教えて頂戴？コハクの恩師なら、お詫びをしたいわ]
コハク｢わ、分かりました後で住所を教えてもらいます｣
[お願いね。コハク、楽しんで]
コハク｢…ありがとうございます｣
コハクは階段を駆け下りた。下りてくる音に反応したレイは振り向いた。
すると涙目になったコハクが飛びついてきた。
レイ｢えっ！？｣
コハク｢やりました…レインさん…お母さんから許可を頂きました…！｣
レイ｢そ、そうか…！それは良かった…｣
ミカ｢わーお！ハクちゃんいきなり大胆！｣
コハク｢えっ…？…わっ！？｣
コハクとレイの間はゼロ距離。嬉しさのあまりコハクはレイを抱きしめていた。
コハク｢ご、ごめんなさいごめんなさい！本当にごめんなさい！！｣
レイ｢いいよ、びっくりしただけだし笑｣
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作者名：こっこ@amuse | 作成日時：2019年6月17日 7時
