8話『狐と優しい雨』(中) ページ28
コハクがため息をつく。
コハク「あの時もってたバケツも、母が知り合いからもらったものですし」
レイ「…そうなんだな」
コハク「習い事を強要されてて、ちょっとしんどくなってしまった、というか…」
レイ「習い事やってたんだな?なにやってたんだ?」
コハク「ピアノに塾、習字にバイオリンですかね?」
レイ「…もしかしてお金持ちか??」
コハク「みんなからすれば、そうなるのかもしれないですね…」
だから顔が綺麗なのか、と納得するレイ。
コハク「せっかくなら新鮮な気持ちでバトルを楽しんでみたいのですが、生憎教えてくれる方も友達もいないので…」
レイ「…ここにいるじゃんか」
コハク「へっ…?」
レイ「俺がいるじゃん。俺がここに来た理由はバトルをもっとしたかったからなんだし」
コハク「そうなんですか…?」
レイ「おう。だから俺で良かったら教えてあげられるけど、どうだ?
…コハク」
コハク「っ…!」
レイがコハクの方に向き直ろうとすると、突如コハクはレイに向けていた顔を逸らす。
レイ「ど、どうした?」
コハク「い、いえ…名前…初めて呼ばれたので…」
レイ「あっ…悪い。突然呼んだから」
コハク「大丈夫です…そういえば、貴方の名前はレイさん…でしたか?」
レイ「本名はレインなんだ。でもみんなレイって呼んでるし、俺も慣れた。だからコハクもレイでいいよ」
コハク「レインさんって呼びますね」
レイ「レイでいいって」
コハク「レインさんがいいです」
レイ「…はいはい笑分かったよ。ここまで引き下がらないやつ初めてだ笑」
コハク「そう…ですか?」
レイ「ま、これからもよろしくな。コハク」
コハク「は、はい……」
レイがコハクを呼ぶ度頬を赤くするコハク。
レイ「コハク?どうした?顔隠して」
コハク「な、なんでもないです…!」
2人の距離がいつの間にか近くなっていた。
コハク「あの…レインさん」
レイ「ん?何?」
コハク「…チーム…入っていいですか…?」
レイ「えっ…?いいのか?」
コハク「ミカさんに誘って貰えたことがとても嬉しかったんです。それに、私はチームで協力して挑んで勝った時の嬉しさを感じたいからここに来たんです…だから、誘ってもらえたなら応えるべきかと思いまして…」
レイ「…嬉しいよ。でも、俺から言っていいか?」
コハク「はい?」
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:こっこ@amuse | 作成日時:2019年6月17日 7時