7話『迷える狐』(上) ページ22
家が新しくなったせいか、ずっと家で荷物の整理をしていたレイは外の空気がすいたくなって、外に出てきた。
上を見上げればビルの隙間からのぞく青空。レイは空を見ながら深呼吸した。
リトもミカもまだ家でせっせと動き回っているから、昼ごはんもまともに作れないだろうと、レイはロブが働くサンド屋に行こうとしていた。
すると、レイは小道にいる1人のガールに目が止まった。
そのガールは半袖の白いTシャツを着ている。バケットスロッシャーを持っていて、背中には黒いリュックを背負っている。
レイは不審に思った。まるで、引越してきた自分の姿にそっくりだ、と。
とりあえず、3人分のサンドを買ったレイは横目でそのガールを見た。
ガールは辺りをキョロキョロしている。
レイ「…迷っているのか?」
レイはそう思ったが、どう話しかけたらいいのか分からず、結局家まで帰ってきてしまった。
目の前でサンドを頬張るリトやミカを気にせず、レイの頭にはそのガールが引っかかっていた。
ーーー
この世界のイカにとって、水は天敵だ。
だから雨の日はハイカラスクエアぐらいの都会でもイカはいない。
ミカは大きめの傘をさして、長靴を履いて出かけた。
オレンジジュースを買いに。
買い終わったミカはるんるん気分で帰っている途中、ふと雨宿りしているイカを見つけた。
ちょうど屋根があって雨が防がれているベンチにぽつんと1人、ガールが空を見上げながら座っている。
ミカはさっそくそのガールに近寄り、話しかける。
ミカ「雨宿り?」
?「…あ、はい…突然雨降ってきて…」
ミカ「天気予報見てなかった??」
?「…ま、まあ…」
ミカ「家まで送っていってあげるよ!」
?「…家…」
雨音で消えてしまいそうな声で話すガール。
ミカの問いにちゃんと答えられない。
ミカ「…あたしの家に1度来る??」
?「いえ…私は大丈夫です…」
ミカ「お家、遠いんでしょ??」
?「…っ」
ミカ「この天気で半袖は肌寒いだろうし、1回あたしの家でお風呂入ったらいいよ!」
?「それは…迷惑では…」
ミカ「全然大丈夫だよ!さ、いこ?」
ミカはそのガールに手を差し伸べた。
?「あ、ありがとうございます…」
ガールは恐る恐るミカの手をとった。
ミカ「そういや名乗ってなかったね!あたしミカ!君は?」
?「私は…
コハク…です」
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作者名:こっこ@amuse | 作成日時:2019年6月17日 7時