占ツクに宗教が出来上がったらしい(解体)

いかり１ ページ23

「先輩、占ツク、見ましたか？」

「う、うん……まあ」

私たちは、授業はそっちのけ。他のグループが和気あいあいと調べ学習や談笑をしている中で、空気が違うこのグループ。
　
後輩Aちゃんが何を言い出すかと、やや身構える。後輩Aちゃんはやや俯き加減になり、それから顔を上げ、

「……てんしさんって、知ってます？」

こう訊ねてきた。こくりと頷く私と女子Bちゃん。しかし、「てんし」という単語に驚く暇は与えられず、

「てんしさん、引退するって……！どれもこれも……てんしさんの批判をする奴らのせいで……！」

こう言いきった後の後輩Aちゃんの表情に驚かされた。つり目をより一層上げ、机に怒りの篭った視線を落としている。

それからやや顔を上げて私たちを見た、その目はむき出しの敵意。

「……後輩Aちゃん……？」

「先輩、昨日、批判は悪くないって言ってましたよね？てんしさんは逆でした。批判は不快だって。……先輩達も、てんしさんの敵ですか？」

「て、敵って……」

「てんしさんのこと、嫌いですか？批判、するんですか？てんしさんを追い詰めるんですか！？」

質問をぶちまけられ、混乱する私。声を荒げたせいで、やや息切れする後輩Aちゃん。

私は慌てて周囲を見渡すも、私達の状況に気付いた人は幸いいないようだった。はじっこの方の席で良かった。

しかしそんなことで安堵はしていられない。どうしようかと、隣の女子Bちゃんを見た。

彼女は、私とは対照的な、どちらかというと昨日の後輩Aちゃんに似た冷たい表情をしていた。

女子Bちゃんは表情を動かさずに、言い放った。

「……てんしさんなんか、大嫌いだよ」

いかり２→←たいりつ４

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す