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結果訪れたのは、凄まじいまでの値下げ合戦だった。
この世界における食料アイテムの生産は非常に高速だ。
どのように高級な食料アイテムであろうと、作成メニューから選択するだけ。
時間にして10秒で作成が完了する。
素材さえ十分にあるのならば、1時間当たり300食作ることも可能だ。
〈大災害〉以降、〈料理人〉が増えた事とも関係し、市場には安い食料アイテムが爆発的に流通することになった。
購入する側は値段以外に買う判断基準を持たないから、当然生産者の側であっても、素材の入手が面倒な高レベルの食料アイテムをわざわざ作るまでもない。
低レベル用の食料アイテムで需要は満たせる訳で、それを安価に供給すればよい。
そう言った市場の理屈から値段は下がり、【食事】という人間であれば誰もが必要とする行為であり、三大欲求のひとつに関わる消費であるにもかかわらず、食料アイテムの取引は冷え切った状況にあった。
そんなお寒い環境のなか、どうして軽食売店なんか始めてしまったんだろう?
それがのぼりを見たアキバの街の住民の感想だったろう。
いまや〈料理人〉であっても、作成したアイテムはマーケットに流す手法が主流だ。
その方が面倒が無いと言うこともあるが、手売りにはやりきれないストレスがあるのである。
それも当然だろう。
自分が作った食料アイテムを買う人々は、「餌」としか思っていないのだ。
自分で食べたところで不味いと思う物を、客に売って嬉しい職人など存在しない。
作っている側だって、本当なら美味しいと喜んで欲しいのに、そんな笑顔は見ることが出来ないのだ。
いまでは露天売りの生産職の中にだって〈料理人〉の姿は見あたらなくなっていた。
しかし、太陽が良い角度にのぼり、後小一時間で昼かというタイミングになると、驚きの波紋が広がり始めた。
おそらくギルドホールかどこかの厨房で作成をしたのだろう。
大量の包みがそれぞれの仮設店舗に届けられると、何とも云えない良い匂いが漂い始めたのである。
それは油の焦げる香ばしい匂い。
香辛料の混じり合った魅惑的な香。
それと同時に前に進み出たすらりと背の高い女性が、緑の髪をゆらして声を張り上げる。
★☆★
2019/11/01
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豆乳ココア(プロフ) - レナナミル♪さん» 読んで頂きありがとうございます。私もログホライズンが好きでアニメも何度も見返す程です。更新も頑張ります! (2019年10月29日 9時) (レス) id: 4ab63936da (このIDを非表示/違反報告)
レナナミル♪(プロフ) - 初めまして!私ログ・ホライズンが好きなのですが最近更新してるのがこの、孤独なサモナーだけでよく見てます!ちなみに私はソウジロウ推しでこの夢小説でも沢山出てきてくれたら嬉しいって思ってます!長くなってしまいましたがこれからも応援してます! (2019年10月29日 4時) (レス) id: aefdd45bb5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆乳ココア | 作成日時:2019年10月28日 0時