【wrwrd】復讐鬼の華

紫陽花 33 ページ36

ut｢OK、交渉成立や。じゃ、ショッピくん、始めようか｣
syp｢分かりました｣

ショッピが腰に付けていた解体器具を外し床に置く。その間、鬱先生はジャケットとシャツの腕の裾を捲りあげ準備を始めた。
すると、男がぽつりと呟いた。

？｢……ショッピ？｣

名前を呼ばれたのに反応し、屈んで器具をとりだしていたショッピが顔を上げる。

syp｢？え、なに、なんかあんのか｣
？｢紫の瞳…そうか、お前がA様が言っていた…
…俺はアルジェント。お前のことは、A様から聞いている｣
syp｢！Aから！？｣

藤紫の瞳を見開く。
男──アルジェントはこくりと頷いた。

ar｢A様はよくお前の話をしていた。外から来た、大切な友だと。…あの方が昔話をする時は、必ずA様の兄君かお前のことだったよ｣
syp｢A…｣

目を伏せ、喜びで心が震えている。
Aは俺の事を忘れていなかった。かつて共に話を咲かせた日々は決して長くはなかった。
だが、あの時の思い出は彼女の心にもきちんと残っているのだと、しっかりと分かった。

(またゆっくり話しをしたい。
…なぁ、色んな所を回って色んなもんを見たんや。
W国に来てからも、いっぱい思い出が増えた。
A、はよ逢いたいよ)

ar｢…A様の憂いを晴らすためなら、俺は何だってする。だが、その為にはお前が必要だ。
さっさと終わらせるぞ｣
ut｢はいはい…
(全く、今までにないくらいあったかい顔しおって…ホンマにその子のことが大切なんやな、ショッピくん。
普段表情を変えることが少ないこの子が、こんなにも心を砕く女の子。僕も会いとうなってきたよ)｣

紫陽花 34→←紫陽花 32

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す