GAME39 HER PRETENDER ページ41
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窓の向こうは墨汁をぶちまけたかのように真っ暗で、月が昇っていた。
日没前に別れてから結構時間が経っているはずだ。
(どこいるんでェ、シノンちゃん)
3階に着いて辺りを見渡す。階段の近くで別れたと言っていたが見当たらないのを見るに、奥に行ったのだろう。
(入出達を追わせないためか…)
重症だってわかっているはずだ。流れ続ける血を拭うシノンの姿を思い出してはそう思う。
そこまで考えてふと、地面に注目すれば色が違う赤い点々とした何かがついていた。
赤黒いものとまだそこまで赤黒くなってない点の数々。不自然に跡が続いているのを見てそれが血痕だと断定するのは早かった。
「シノンちゃん!!」
血痕を辿って行けばツタに隠れるようにしてシノンは倒れていた。但し、彼女の周りは紅く染められている。
脈はまだあることを確認したカイコクは持っていた手ぬぐいで止血をする。
「頼むから、耐えてくれよシノンちゃん」
そう言ってシノンのことをおぶるが、意識を失っているにも関わらずその軽さに驚愕する。
普段からオーバーサイズのパーカーを着ててわからなかったが、今にも折れそうなくらい小さな身体に対してあの出血量は耐えられるのか余計心配になってくる。
(ああそういえば…)
食堂に行ってもあまり何かを食べている印象が無い。それ所か、いつも入れ替わりになって一緒に食べたことがない気がする。
単に時間が合わないだけなのかもしれないが、この身体では心配しても不思議ではない。
(後で路々さんや入出辺りに聞いてみるか)
よく人のことを見ている二人に聞けばそこら辺ははっきりわかるだろう。
まあ返答によっては行動も変わってくるが…
「絶対目を覚ましてくれよ、シノンちゃん」
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作者名:雪雅 | 作成日時:2020年12月29日 14時