Story 48 ページ49
「さて、わしの計算に間違いがなければ表彰式の飾り付けを変えねばの」
ダンブルドア先生が手を叩いた瞬間、天井を飾っていた緑の垂れ幕が真紅に変わり、スリザリンの蛇が消えてグリフィンドールのライオンが現れた。
「では、グリフィンドールに優勝カップを！」
耳をつんざく大歓声が上がり、グリフィンドールだけでなくハッフルパフやレイブンクローも一斉に立ち上がり、帽子を天高く放り投げて祝った。
＊
ちなみに学年末試験の結果だが、そこにはAの名もあった。恐ろしい目にあったショックが大きいだろうということで当初は療養のために一人だけ試験を免除される予定だったが、A自身が拒んだのだった。
学年トップのハーマイオニーには敵わなかったものの、それなりに満足していた。一番成績の良かった教科が『闇の魔術に対する防衛術』だと知ったAは思わず笑いだしてしまった。
「どんな面白い結果だったの？」笑っているAにハリーがポカンとして尋ねる。
「なんでもない、予想していたより良かったから安心したの」
＊
そして、学期が終わり……
ホグワーツ特急に乗ろうとしたAはふと、離れた場所にいるマルフォイと目が合う。
彼の父親がヴォルデモートの部下だったというのが本当なら……。
「ごめんハリー、先に行ってて」
一旦、ハリーと別れるとマルフォイはこちらに歩いてきた。
「おやA、有名人と一緒にいなくていいのかい？」
「いいの。セットにされるのはうんざりだし」
「そういえば君ってあまり友達いないみたいだね」
「そうね……話しかけてくる人はだいたいハリー目当てだから」
「額に傷があるだけなのにねえ」
「むしろあなたのほうがすごいと思うんだけど」
その言葉は予想していなかったのか、マルフォイが固まる。
「勉強もできて、箒さばきもすごくて。反発してたけど、本当はあなたに憧れてたの」
「よく分かってるじゃないか」
マルフォイはすっかり機嫌を良くしたようだった。
「それで、お願いがあるんだけど……その……」
「友達になってやろうか？」
Aが切り出す前にマルフォイが言う。
「いいの？」
「もちろん。どうやら君はあいつとは違うみたいだからな」
「ありがとう！」
よろしくね、と握手しながらAは心の中でほくそ笑んだ。
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作者名：闍弥嵩 李 | 作成日時：2020年1月2日 17時
