Story 37 ページ38
「特にグリフィンドール生が噂してましたよ。それにしても、マルフォイ君さぞかし驚いただろうね……」
そう言ってまた笑い出す。Aはとりあえず怒られる心配はなさそうだと安堵した。
「あの魔法は先生が考えたんですか？」
「いや、お、教えてもらったものです。もっとも、あれは、ほ、ほんのお遊び程度のものですが」
闇の魔術に対する防衛術の前はマグル学を教えていたと彼は言う。
「学生の頃から闇の魔術に興味があって、そ、その頃はまだ、理論だけで実践はまるで駄目でした。ですが、世界を旅していた時にあの方に出会ってから、か、変わったんです」
クィレルはそこで一旦言葉を切るとあたりを見渡した。中庭にいる生徒たちは二人の会話に気づいてはいない。
「戦いかたは、ひ、一通りやったので、な、何か特に学びたいこととか、あります？」
クィレルはすぐに話題を変え、先程の話題である部分が引っかかったAは少し考えてから答えた。
「何でもいいですか？」
「ええ、勿論」
＊
「あ、いた！ A！」
「ハリー、どうしたの？」
「メリー・クリスマス、これロンのママからAにもって」
「私に？ わあ、すごい！」
渡された手編みのセーターにはAのイニシャルが刻まれてあった。
「あと実は見せたいものがあって」
そう言ってハリーは先程から抱えていた銀色のマントのようなものを広げて頭から被る。
「え、あれ！？ なに、どうなってるの」
マントを被った瞬間、突如ハリーの姿が目の前から消え、Aは仰天した。
「透明マントって言うらしいんだ。まだ誰にも言わないようにね」
「ええ。でも、誰からだろう？」
「分からない。ただ、手紙には僕たちのパパのものだったって。『上手に使え』って」
「確かにこれがあったらフィルチさんにイタズラできそうね」Aが言って二人とも笑った。
「そういえばクィディッチの試合の日に話してた、ニコラス・フラメルについて何かわかった？」
「いや、図書館で調べはしたんだけど手がかりになるのは何も……」
「閲覧禁止の棚にはあるかもしれないわね」
Aが言うとハリーは驚いた。
「ハーマイオニーも同じこと言ってたよ」
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作者名：闍弥嵩 李 | 作成日時：2020年1月2日 17時
