Story 34 ページ35
＊
「こんにちは、ハグリッド！」
「おおA！ 久し振りだな、元気にしとったか？」
クィディッチの試合が終わり、Aがハリーたちのところに行くと、偶然にもハグリッドに会うことができた。
「そういやお前さん、マルフォイを吹っ飛ばしたそうだな」
「どこまで噂が広がってるの……」
Aは思わず苦笑した。
クィディッチの話になるとハリーたちはスネイプが呪いをかけていたかもしれないということを口々に言い始めた。
「あなたたちもスネイプ先生を見てたの？」
「Aも！？」ロンが驚いた声を出す。
「そんな馬鹿な。何でスネイプがハリーの箒に魔法なんか」
「知らないけど、ハロウィーンの時に頭が三つある犬に近づいた」
「何故フラッフィーを知ってる？」
何それ、と訊きたいのをAは堪える。多分私が知らない間にいろいろあったんだ。一から質問しだしたらきりがない。
「フラッフィー？」
「あの犬に名前があるの？」
「あるともさ、俺の犬だ。去年パブであったアイルランド人から買った。ダンブルドアに貸して学校の……おっと、いけねぇ。これ以上聞かんでくれ。なんにも聞くな。重大な秘密なんだ」
「でも、ハグリッド。フラッフィーが守ってるものをスネイプが狙ってるんだよ？」
事情は知らないが思った以上に重大なことが起きているのはAにも分かった。
魔法薬の授業中、薬を調合しながらAは時折スネイプの様子を伺っていた。相手がどうこう以前に先生の中に生徒を殺そうとする人間がいること自体信じたくはないことだった。
スネイプがまたも理不尽な理由でグリフィンドールから点を引き、さらにマルフォイが嘲るような笑い声をあげたので、ただでさえ神経を張り詰めていたAはイライラを募らせた。
彼の前の小瓶に杖を向け、想像するだけでも少しは気が晴れるだろうとAはクィレルに習った呪文を頭の中で唱えた。
「わあ！？」
マルフォイの小瓶が砕け、ガラス片から小さな炎が上がったと思うと二匹の蛇の形になって互いに喰らいつきはじめた。
まさか本当に成功するとは思わず、Aが他の生徒とともに唖然としているとスネイプは顔色ひとつ変えずに杖を一振りし、机の上で争う炎の蛇を消した。
「ごめんなさい、ドラコ」
Aは慌てて謝り、薬品の入った自分の小瓶を「これ使って」とマルフォイの机に置く。授業を妨害するつもりはなかった。
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作者名：闍弥嵩 李 | 作成日時：2020年1月2日 17時
