Story 22 ページ23
「みんな、どいて！」
駆け寄ったフーチ先生がネビルを抱き起こす。命に別状はなく、Aはホッとため息をついた。
「なんとまぁ、骨が折れてる……ほら大丈夫よ、立って。全員、地面に足をつけて待ってなさい。この子を医務室に連れて行きますから。いいですね？ 箒一本でも飛ばしたらクィディッチの『ク』の字を言う前にホグワーツから出て行ってもらいます！」
ネビルの落とした白い煙の入った謎のガラス玉をAが拾った時、フーチ先生が付け加えた。
「それと、レイブンクローに五十点。よくやりました、ミス・ポッター」
「……え？」
ネビルを連れたフーチ先生が声の届かないところまで行くと、レイブンクロー生が一斉に歓声を上げてAを囲んだ。
「すごいぞA！」
「よくやったわ！」
「五十点だって！ 信じられない！」
唖然とするスリザリン生とは対照的に、グリフィンドール生はネビルを助けてくれたことを感謝しているようだった。
「ありがとうA！」ハリーとロンが言うとハーマイオニーも「すごいわ！」と感心した。
驚きつつも喜ぶAの手から誰かがガラス玉をかすめ取る。マルフォイだった。
「よかったなA、これで人気者になれるだろうよ」
彼はそう皮肉混じりに言って、玉を掲げてみせた。
「ロングボトムのあの顔見たか？ この思い出し玉を握れば尻餅のつき方を思い出したろうに」
大きく点を取られて悔しそうだったスリザリン生たちが笑う中、ハリーが進み出る。
「返せよ、マルフォイ！」
「嫌だね。ロングボトム自身に見つけさせる」
屋根に置こうか、とマルフォイはひらりと箒に乗って飛び上がった。それを追って飛んだハリーをAは呆然と見送る。
箒に乗るの、初めてなのにすごい……。
次に見えたのは、空中でマルフォイが投げたガラス玉をハリーが矢のように追いかけ、壁にぶつかる寸前で掴んだところだった。彼が地上に戻ると生徒たちはハリーのほうに走って行き、讃える。その中にはAもいた。
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作者名：闍弥嵩 李 | 作成日時：2020年1月2日 17時
