選ばれし者とその妹 (ページ22)

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Story 21 ページ22

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　その日の午後。校庭に集まって整列した生徒たちの前には箒が並べられていた。

「こんにちは、皆さん」

　短い白髪をしたマダム・フーチの呼びかけに一同は「こんにちは、フーチ先生！」と返した。

「アマンダも皆もこんにちは。いよいよ飛行訓練です。さぁ、ぼーとしていないで、全員箒の左側に立ちなさい」

　生徒たちは指示通りに左側に立って、右手を箒の上に出すと一斉に「上がれ！」と叫んだ！

「上がれ！上がれ！」

　ハリーの箒がすぐさま飛び上がったのを見てAは焦りを募らせたが、一旦目を閉じて自分を落ち着けた。そして再び唱えると箒が手に収まった。
　ハリーのことはあまり気にしないようにしよう。クィレル先生が言ってくれたじゃない。比べたらキリがないわ。
　
「では、箒を手につかんだら、またがりなさい。柄をしっかり握って。落ちないように。笛で合図したら皆一斉に地面を強く蹴ること。箒は常に真っ直ぐに。しばらく浮いてそれから前かがみになって降りてきます。行きますよ！一、二――」

　笛の音が鳴った瞬間、グリフィンドール生の一人が浮き上がった。ネビル・ロングボトムだ。

「ミスター・ロングボトム！ネビル、落ち着きなさい」

　どうしていいか分からずネビルの箒はあっという間に高く飛んで行ってしまった。

「ネビル・ロングボトム、どこに行くつもりなんです！今すぐ戻ってらっしゃい！」

　遠くへ飛んで行ったと思いきや、今度は悲鳴を上げながら一直線に突っ込んできたネビルの箒をみんなは慌てて避ける。ネビルは高い塔の上の像に引っかかり、箒は乗り手を見捨ててどこかへ行ってしまった。
　あんなところから落ちたら……！ Aは杖を出して、読んだ本の内容を必死に思い出す。
　とうとう体重を支えきれなくなったマントが破れ、ネビルが落下する。Aが咄嗟に浮かんだ呪文を唱えると半分ほどで一瞬落下が止まったが、結局落ちてしまった。