選ばれし者とその妹 (ページ13)

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Story 12 ページ13

「ヒキガエルを見なかった？ネビルの蛙が逃げたの」

「見なかった」とロンが返すと女の子は杖に気づいた。

「あら、魔法をかけるの？やって見せて」

「お日様、雛菊、とろけたバター。このデブネズミを黄色に変えよ」

　ロンはあまり気乗りしない様子で呪文を唱えたがネズミに変化はない。呪文以前に『デブネズミ』がツボに入ったAは笑いを堪えていた。

「その呪文、ちゃんとあってるの？全然効かないみたいね。私は簡単な呪文しか試したこと無いけど、ちゃんと効いたわ」

　女の子はAの隣に座るとハリーの顔に杖を向けた。

「例えばこれ。オキュラス・レパロ！」

　小さい音がして、歪んでいたハリーの眼鏡が治ったのを見て、Aは思わず「すごい」と感嘆した。

「あら、びっくり。あなた、ハリー・ポッター？じゃああなたはA・ポッターね？私は、ハーマイオニー。あなたの、名前は？」

「ロン・ウィーズリー」

「よろしく。三人ともローブに着替えたほうがいいわ。もうすぐ着くはずだから」

　外はもう夜になっていた。小さな暗いプラットホームに降りるとランプを持った大きい人影が近づいてきた。

「イッチ年生！こっちだぞ！ほらほらぐずぐずせんと急いだ急いだ、ほら。よお、ハリー、A」

「ハグリッド！」

　二人は顔見知りに会えて心底ホッとしていた。特にAは。

「さぁさぁ、あっちでボートに乗るぞ。着いて来い」

　みんなは岸辺に繋がれた小舟に四人ずつ乗り込んだ。鏡のような湖面を進むうちにそびえ立つ巨大なホグワーツ城が近づいてきた。