第二話 鈍色の金属片 ページ9
価値ある鉱石、仮称〈異鉄〉が今ここにある。
ハインは時計塔から降りて、金属片をウエストポーチに押し込むと、ドフラミンゴのおかげで邪魔な海賊が消えたエリアを探索し始める。今にも崩れそうな建物が並ぶ大通りを歩き、割れた窓から室内を覗くと、避難した町民達の慌て具合が伺えた。破れたカーテンに食べかけのスープ。冷蔵庫は開けっ放しでピーピーと高い音を鳴らし続ける。蹴り破られた玄関をくぐって冷蔵庫を閉めたハインは、住民の生活風景を横目に見つつも革命軍の拠点がないかと歩き回った。
するとドフラミンゴが戻ってきて、上機嫌にニィッと笑う。
「厄介だろ？」
「ですね。」
「だから嬢ちゃん、取引しようぜ。手始めにジャヤを使おうじゃねェか。」
取引を持ちかけられたハインは、歩みを止めて聞く姿勢をとる。ドフラミンゴは腕を組みつつ瓦礫に腰掛けると、裏社会の武器商人らしい算盤を弾いた。
当然ドフラミンゴも異鉄が欲しい。
しかしそれよりも彼は、直近に起こりかねない現実的な問題を気にしていた。コントロール下に置いている裏社会での商売やら勢力バランスが、この異鉄によって掻き乱されるかもしれないのだ。となれば余計な詮索や商売への悪影響、小競り合いを阻止するために情報統制を行わねばならない。
だからドフラミンゴは、情報局長ハインに取引を持ちかけた。ドフラミンゴの情報網も海賊有数の規模を誇るが、全海域となった場合には話が変わってくるのである。それに政府が海楼石を必要としなくなれば、ドフラミンゴは対政府用の手札を一枚失い、これまでの優位な立場が傾き始めることにも繋がる。勿論この七武海はそう簡単に揺らぎやしないが、大きな手札を失うのには違いない。
海軍的にはドフラミンゴと同じく、他者が異鉄の存在を嗅ぎ付ける前に回収するなりしたいところ。我儘を言うのなら、政府にもあまり渡したくないので、いざとなったらドフラミンゴの名を使いたいのである。
つまり、今回ハインとドフラミンゴは損得を同じとする仲なのだ。
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poidf(ポイドフ)(プロフ) - 誤字も見付けたら教えてくださいまし (11月18日 18時) (
レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
poidf(ポイドフ)(プロフ) - どこかにルビ振る為の■が混ざってるかもしれません。混ざってないかもしれない。忘れましてよ。見つけたら教えて。 (2023年3月7日 22時) (レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
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