第六話 万人彩色 ページ38
はーあ…と溜息を零したサボは静かになった港を見下ろし、ガレーラに鎮圧された海賊団と、革命軍の無事を確認する。ゾロゾロと帰っていく船大工達を出迎えるようにガレーラの正門は大きく開けられ、玄関からは眩い光が真っ直ぐに伸びていた
広い庭にはガーデンライトが点々と置かれ、彼らの足元をぼんやりと照らし出し、朧気な影が芝生に揺らぐ。
ただただ広い。
だが良い庭だ。
出港の時間が迫っていたのか、サボはそろそろお暇していいか？とマリアにお伺いを立てる。この場を制していたマリアは緩やかに笑って、バイバァイと手を振り、すんなりとサボを見逃した。戦闘を回避したハインは港を見下ろし、革命軍の船が夜の海に溶けて見えなくなるまで監視し続ける。
「ホテルに戻ろっか、ハイン。今日が昨日だよ。」
「もうそんな時間ですか？あ、ホテルのディナー食べ損ねましたね。凄いって聞いたから楽しみにしてたのに。」
「あ！あぁー、すっかり忘れてた…うぅ、この時間でも開いてるお店まだあるかなぁ…ちょっと軽く食べたいよねぇ。」
昼間の気温はどこへやら。
肌寒さを感じる夜風が蛾の目の腰布を揺らし、マリアの剣に付けられている房飾りもユラユラと動く。ホテルへと帰る道中、マリアが手頃な店を見つけたので軽く食べ、リゾートホテルに帰った。
部屋に戻ってきたマリアはアダンダラへと姿を変え、一つ大きく伸びると前足を器用に使って窓を開ける。両開きの大きな窓からは潮風が流れ込み、どこまでも広がる夜の海が一望できた。風呂に入り、寝る支度を済ませたハインは紺のハイネックにガウチョパンツと言う休暇モードの格好で、よいしょとソファに腰掛ける。
んー…と考えるハインを気にかけながら、アダンダラは爪の先で海図を捲り、尻尾の先を小刻みに揺らしてガレパスまでの航路を考えている。
「マリア。」
「ガレパスのことは詳しくないよ。あちこち渡り歩いたけど、あそこは行ったことないんだよね。隣のグアナコは良い所だよ。驚異の大自然って感じ。」
「では単騎先行を頼めますか。」
「りょーかい！ハインは？」
「一回本部に戻って、手隙の助っ人を探してきます。」
アダンダラはモソモソと布団の中に潜り込み、名残惜しそうに夜のウォーターセブンを眺める。パチン、とハインが部屋の明かりを消せば、部屋に差し込んでいた月明かりがいっそう明るく見えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 267人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
poidf(ポイドフ)(プロフ) - 誤字も見付けたら教えてくださいまし (11月18日 18時) (
レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
poidf(ポイドフ)(プロフ) - どこかにルビ振る為の■が混ざってるかもしれません。混ざってないかもしれない。忘れましてよ。見つけたら教えて。 (2023年3月7日 22時) (レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
