第六話 万人彩色 ページ36
「なんで海軍はバスターコールを承認した?」
純粋に疑問を感じたサボは、淡々としているハインに尋ねる。極々普通に一般的に、小難しいことを抜きに考えて〈オハラ学者はインペルダウン行き、物品は収容〉で足りたはず。島を消す密度の攻撃なんて、過剰反応以外の何でもない。
「承認?」
するりと姿を戻したマリアが、裾についた雨粒を払いながら言う。柔らかな口調に窘められたのか、強かった雨風は段々と弱まり数分後にはすっかり晴れた。
「あの頃の海軍にバスターコールの発動権限はないね。政府が発動し、私達は行使するだけだった。その後元帥が政府上層と交渉し、権限を獲得したんだよ。」
それに…とマリアは内心で、彼ら革命軍の甘さを笑う。
バスターコールは大地を消し去る〈ような〉攻撃の名称であり、実際に大地が消えるわけではない。地図からは消されたとしても、今も昔もオハラと言う島はそこに存在し続けている。砲撃により地形が変わった、数多ある無人島の一つに繰り下げられただけのこと。なのにサボは混同して考えているらしく、そんなサボに対してマリアは何も言わなかった。言う義理などないし、そもそもは確認に行かない彼らが悪いのである。
「別に当時の政府を擁護するわけではないけど、敵を倒したいって感情を抱くのは当然のことじゃないの?」
雨上がりの涼やかな夜。
澄んだ月光が噴水塔をぼんやりと照らし、勢いの変わらない水路の水が都の隅々に流れていく。
「たったそれだけの理由でバスターコールを発動したって言うのか。」
「土木工事のために発動したとでも思う?まぁ多少は大地が平らになっただろうけどさ。」
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poidf(ポイドフ)(プロフ) - 誤字も見付けたら教えてくださいまし (11月18日 18時) (レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
poidf(ポイドフ)(プロフ) - どこかにルビ振る為の■が混ざってるかもしれません。混ざってないかもしれない。忘れましてよ。見つけたら教えて。 (2023年3月7日 22時) (レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
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