第一話 夜明け前の火柱 ページ4
面倒なことになった。
とて、あまりにも広いこの海で面倒が起こらない日などない。
「革命軍側から攻撃を仕掛けてきたのは初じゃないか?局の古参達は何と?」
「攻撃を仕掛けるだけの下地が出来たのか、無茶するだけの価値があったのか。もしくはその両方と見ています。」
「どれも頭が痛くなるな。」
「はい。」
政府の貨物船はひたすらに巨大だ。協賛企業とてそれは同じで、装甲の厚さも軍艦に次ぎ、並の攻撃では傷などつかない。前半も前半の素人じみた海賊には、とてもではないが相手にできるような船ではなく、革命軍でも相当の覚悟が必要になるだろう。
しかし彼らは襲った。
そして沈めてみせた。
「悪魔の実でも積んでいたりして。」
「否定はできません。」
悪魔の実は兵器だ。
能力者一人は、各国が保有する部隊の一つに値する。不利な戦況を覆すことも可能な存在で、立っているだけで抑止力になってくれるのが能力者と言う存在だ。ゆえに国々や組織は能力者を欲し、悪魔の実を得ようと策略を巡らせる。欲しいとは言っても、流石に表立って派手に争いやしないが、水面下での攻防は常に起きていると思っても過言ではない。たとえ実物がなくとも、出処不明の噂一つで火種となり得るのだ。
なので海軍が回収して戦力とする。
海軍が強ければ海を守れる。
各国が独自に能力者を少数抱えるよりも、海軍の管理下に大勢置いて揃えておけば、必要な能力者を必要な時に派遣できる。能力者それぞれに適切な訓練を提供することも海軍なら可能。能力者の天職は海兵である…と言うのが世界政府の表向きの発言とされているが、現実はそんな綺麗事ばかりではない。
威圧、威嚇、制圧。
つまるところ軍の十八番〈圧倒的火力〉による問題の解決。そのための能力者集めとも言える。
それはともかく。
「今回の取引が悪魔の実ならば、もはや対処の仕様がない。革命軍に奪われた時点で食われたと思った方がいいだろうな。」
センゴクは顎に手を添えて、昼休憩の終わりを告げる鐘の音を聞き流す。
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poidf(ポイドフ)(プロフ) - 誤字も見付けたら教えてくださいまし (11月18日 18時) (レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
poidf(ポイドフ)(プロフ) - どこかにルビ振る為の■が混ざってるかもしれません。混ざってないかもしれない。忘れましてよ。見つけたら教えて。 (2023年3月7日 22時) (レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
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