(6/28記) ページ25
「……アハ」
こういった事に関しては、慣れているはずのミヒャエルだった。自分の方が上手なつもりでいた。しかし今回ばかりは、隠そうとした動揺が乾いた笑いになって漏れた。
「それってサ、可愛いお願イ? それとも俺のこと挑発してんノ?」
「ミヒャはどっちだと思う?」
「……短気だよ〜俺。言っとくけド」
口にしてから気付く無意識の悪あがき。年下で、大人しくて、自分より体も小さくて、そんな澪にどうしておされているのか分からない。昔だったら、例え「恋人」であろうとも手が出ているような状況なのに、その選択肢が浮かびもしないのはなぜだろう。
目を合わせないようにフェンスに寄りかかると、かつて使いなれた荒い言葉が独り言のように流れ出てきて、沈黙が生まれる。
「つーかお前さア、……調子乗ってんだロ。クソ生意気でなんかムカツク。俺そういうの羨ましいヨ、想像つかないもン」
それはほぼ八つ当たりだ。ミヒャエルは心の底で、澪が「ホンキ」なことくらい分かっている。少し怯えたらしい澪の大きな目は、夜空を呑んでますます深い色になっている。自分を好いてくれる人が好き、なミヒャエルのはずのに、いざ理解してしまうと怖くて堪らない。微笑みを作った澪の柔らかくて優しい声。
「……そんなにやだった? ちょっと傷付くな、なんて」
「……俺、やっぱりちょっと酔ってるかモ、アハハ。ゴメンネ?」
「YesかNoかで言ってよ。僕だって、……恥ずかしい、し」
その言葉が急かすように感じられて。怖いのに、すがりつかずにはいられなくて。
「……Yes. Ja, Mein Herr.」
色白なせいで、暗くてもぱっと赤らんだらしいとわかる素直な頬。問うた以上この答えを待っていたはずなのに、しどろもどろになった言葉。
「っえ、あ、……いいの?」
気がつくと、ミヒャエルは澪を抱き締めていた。
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和癒 - ここりどらすさん» 遅くなってしまい、申し訳ないです!!更新いたしました!本当に申し訳ございませんでした! (2022年9月20日 13時) (レス) id: c16c5fa71a (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - アルフさん» ワ、ありがとうございます! 和癒さんの澪くんは【https://uranai.nosv.org/u.php/novel/2nayu2/】、うちのミヒャエルは【https://uranai.nosv.org/u.php/novel/kokoridora6/】にCSがあります…! (2022年8月3日 7時) (レス) id: 29de6c45fc (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - 和癒さん» 全然!! 私も最近学校の部誌作るのでてんやわんやしてて… 来週までには落ち着くのでそしたらまた書きます! (2022年8月3日 7時) (レス) id: 29de6c45fc (このIDを非表示/違反報告)
アルフ - すみません、、とても面白かったのですが、出演しているキャラクターの設定などはありますか?いきなり質問すみません! (2022年8月2日 10時) (レス) @page21 id: c16c5fa71a (このIDを非表示/違反報告)
和癒 - ここりどらすさん» 遅くなってしまい、申し訳ないです!! (2022年8月2日 8時) (レス) id: f702b299fb (このIDを非表示/違反報告)
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