ピアス開けさせテ! 6/20記 ページ11
「澪〜、ピアス開けさせてくれなイ? 耳でもどこでもいいけド」
隣から澪のスマホ画面を覗き込んでいたミヒャエルは、その忙しい指の動きが止まるのを見計らったように口を開いた。開いた窓の向こうから緊急車両のサイレンが聞こえる。澪はスマホを置くと、背伸びをしながらぱたりとソファにもたれかかった。
「それって、ミヒャが僕の耳に……、ってこと?」
「そうだヨ! 余ってるニードルとガラスピアスあってさア、どウ?」
冗談とも本気ともつかない、低いのにおどけが混じった普段通りの声。澪は自分の左耳に触れながらやや考え込んだが、不意にミヒャエルの顔を一瞥すると、
「まあ、いいかな。いつか開けようとか思ってたし」
とあっさり答えた。その「お願い」をためらいもなく受け入れられて、驚いたのはむしろ言い出したミヒャエルの方だったかもしれない。
「ミヒャってさ、それ全部自分で開けてるんでしょ? 痛い?」
「俺もう慣れてるから全然だけド……、『痛い』ってか『怖い』かモ? でも俺、暴れられなければ割とキレイに開けられる自信あるシ。アハハ」
言いながらミヒャエルは口内でピアスを歯に当て、カチカチと音を立てる。それから茶化すように赤い海綿に似た舌をペロリと見せると、埋め込まれた銀色の金属が鈍く光った。
「ちょっと探して来るネ!」
そう言いながらもミヒャエルは二、三分ですぐまた部屋に戻ってきた。ゆったりと歩きながらカーテンを閉めると、空間全部が薄明るい影の中に包まれてしまう。アンバーの瞳が人懐っこい笑みに細められる。
「別に深い意味とかないんだけどサ、こうするとなんか悪いことしてるみたいじゃなイ?」
ソファにゆったりと腰掛けたままで、自分の動きを追う澪の眼。その深い色をした眼が無垢な子猫のもののように見えて、ミヒャエルはなぜかもどかしいような苛立たしいような感情を覚えた。しかしそれを伝える言葉を彼は持ち合わせていない。
「てかどこ開けル⁉」
「ミヒャ決めていいよ。舌は流石に遠慮するけど、耳ならどこでも」
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和癒 - ここりどらすさん» 遅くなってしまい、申し訳ないです!!更新いたしました!本当に申し訳ございませんでした! (2022年9月20日 13時) (レス) id: c16c5fa71a (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - アルフさん» ワ、ありがとうございます! 和癒さんの澪くんは【https://uranai.nosv.org/u.php/novel/2nayu2/】、うちのミヒャエルは【https://uranai.nosv.org/u.php/novel/kokoridora6/】にCSがあります…! (2022年8月3日 7時) (レス) id: 29de6c45fc (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - 和癒さん» 全然!! 私も最近学校の部誌作るのでてんやわんやしてて… 来週までには落ち着くのでそしたらまた書きます! (2022年8月3日 7時) (レス) id: 29de6c45fc (このIDを非表示/違反報告)
アルフ - すみません、、とても面白かったのですが、出演しているキャラクターの設定などはありますか?いきなり質問すみません! (2022年8月2日 10時) (レス) @page21 id: c16c5fa71a (このIDを非表示/違反報告)
和癒 - ここりどらすさん» 遅くなってしまい、申し訳ないです!! (2022年8月2日 8時) (レス) id: f702b299fb (このIDを非表示/違反報告)
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