五条さん家のお兄ちゃん！ 続編【呪術廻戦】

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それから、ふたつめ。多分、彼にはお兄さんがいた。
買い物で本屋に立ち寄ったとき、


『兄弟特集！兄弟で活躍する俳優たちに取材──信じられるのは、兄弟だけ』


という雑誌に釘付けになっていたし、映画を見に行った時も、本編前の予告編で、


【日本中が涙した、あのベストセラー小説が待望の映画化

『ふざけてんじゃねえぞ！』
『家賃払えないならぁ、さっさと出ていって貰えますぅ？』
『あそこの家族には、近寄らない方が良いわよ』
『でもなんか、変なんだもん』
『産まなきゃ良かったんだ！あんた達なんて！』
『行くな、兄貴！』


『誰がなんと言おうと、アイツは俺の弟なんだよ！』

これは、ちぐはぐな兄弟が綴る、感動の物語

『お前の弟が残したカセットテープだ。

"…ｻﾞｻﾞ……ｻﾞｰ…ごめん兄貴。俺は、嘘をついていました”』】


と流れた時、暗闇の中でもわかるほど、彼はあからさまに動揺していた。
そしてそんな時、決まって彼は寂しそう顔をするから、きっと彼のお兄さんは亡くなってしまったのだろうと思うのだ。


だが、それらの疑念を本人に直接確かめることもしないまま、月日は流れた。それに、その時間は、確実に俺たちを仲良くしてくれた。
…と、俺は信じている。


そして、今。


騒音の塊が、夜に似合わない光と共に辺りを支配している。


｢うわぁ、すごい人だかりですね｣


｢フッフッフ、甘いね、A。これでもまだ少ない方だ｣


｢そうなんですか？恐るべし、夏祭り…｣


｢俺から離れるなよ、兄ちゃん｣


そう言って手を握られて。


悟も混じえた俺たちは、夏祭りに来ていた。

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