episode.79 ページ29
*
目黒side
次の収録の時、誰よりも早くプロデューサーさんの存在に気が付いて席を立った阿部ちゃんは、きっとこの間のことを直談判しに行こうとしているんだろう。
爽やかでニコニコしてて堂々としてる、いつもの雰囲気とは少し違くて、眉間に寄せた皺が今の気持ちを容易に想像させた。
「阿部ちゃん、俺一緒行こうか？」
声を掛けたことで俺に気が付いた阿部ちゃんは、目が合うとふっと力が抜けたように笑ってくれた。
阿「ありがと。でも、大丈夫。来てって言いたいところだけど、これは俺ひとりで蹴り付けなきゃいけないから。
だから、もし論破されたら慰めて？笑」
「うん、分かった。でも大丈夫だよ、分かんないけど、なんかそんな気がする。」
優しく肩をポンポンと叩いて、阿部ちゃんを送り出した。
年上だし先輩なのにこうも俺が守ってあげなきゃと思うのは、しんどい時期に誰よりも優しかったから。
これが優しさへの恩返しになるかは分からないけど、なにが起きても1番に駆けつけられるように、物陰に隠れてその姿を見守った。
阿部side
地上波レギュラーが決まった時に誰よりも喜んでくれたあのプロデューサーさんだから、悪い人だとは思えなくて。
それでも、そんな人じゃないって思ってても、やっぱりたまらなく怖かった。
『一緒行こうか？』
安心させてくれるめめの優しい言葉につい甘えてしまいそうになったけど、これは俺の問題。
支えてもらうことと、ひとりで闘うこと、そこの線引きはちゃんとしないと。
肩に触れた手から、めめの優しすぎる優しさを感じて、俺は足を進めた。
「お疲れ様です。今少しお話よろしいですか？」
P「あれ阿部くん、お疲れ様。どうしたのそんなに畏まって？」
ドキドキと煩い胸を黙らせたくて、つい保険を掛けた情けない言葉が口を突いて出そうになる。
違う、俺がしたいのは言い訳でも保身でもないじゃん。
緊張もピークに達して真っ白になった頭では、前置きも脈絡ももう考えられなかった。
「キャンプもスポーツも大食いもロケもドッキリも罰ゲームも、全部できます。
何もない、とは言い切れないですけど、全部自己責任です。
だからお願いします、今までと同じように、みんなと色んなことをさせてください。」
これでもかと頭を下げた俺の耳には、それはそれは深いため息が聞こえてきて、「あぁ、終わった」そう思った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1719人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ストロベリー - 3早く読みたいです 頑張れ〜 (2023年4月2日 21時) (
レス) id: 78d64c6e31 (このIDを非表示/違反報告)
円周率 - いつも楽しく読まさせていただいています。3のほうも読みたいと思っているのですがパスワードを教えてもらうことは可能でしょうか？ (2023年3月8日 6時) (レス) id: 6ee190949a (このIDを非表示/違反報告)
みどり - 続き気になるので、楽しみに待ってます (2022年11月26日 1時) (レス) @page45 id: 1e919caffa (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。ちゃんと他のメンバーに支えられながらライブできるといいですね、、、 (2022年7月25日 1時) (レス) @page38 id: 436e54c814 (このIDを非表示/違反報告)
あお - このお話大好きです！更新待ってます、頑張ってください！ (2021年10月13日 15時) (レス) id: b9c7362213 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しぃ | 作成日時：2021年5月23日 22時
