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episode.30 ページ30

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目黒side





滝沢歌舞伎の千秋楽を終えていただいた数日のオフ、今日が明け一発目の仕事だった。



きっとみんな多くは聞かずとも病み上がりの阿部ちゃんを心配して意識して見ていたと思う。



序盤こそ落ち込んだ雰囲気が拭い切れない顔をしていたけど、段々といつもの様子に戻って楽しんでいたから俺も安心した。









でも、スタジオ収録に移ってから、やっぱり阿部ちゃんが少し変だと気が付いた。




ボーッとしてて話を聞いていなかっただなんて、真面目な阿部ちゃんがするとは思えなくて。




他のメンバーは本当にボーッとしてたんだと思って面白可笑しくツッコミを入れたりしていたけど、それ以降も阿部ちゃんは解答を外しまくっていつもの感じとは程遠かった。




この間倒れた時は脱水症状って言ってたっけ、病み上がりで外に何時間もいて今日は暑くて…



熱中症かな?



撮影が終わって、真っ先に阿部ちゃんのもとに向かった。



また脱水症状でも起こしたら危ないと思って、ちゃんと水分補給をして欲しくて渡したスポーツドリンク。



でも、何故か受け取るだけで口をつけようとしない。

こんなの、また無理しようとしてるに決まってる。




「だめ、また倒れちゃうから飲むまでいる」



少し強引に言うと、やっと飲んでくれた。







それから帰りの移動車でも、やっぱり阿部ちゃんのことが心配で隣の席を陣取った。




仕事終わりでも元気が有り余ってる佐久間くんとラウールを筆頭にわいわいと騒がしい車内。




各々が誰かしらと喋っている中で隣からは物音ひとつ聞こえないと思っていると、俺の肩にずしっと重みを感じた。




肩を動かさないように横に視線を向けると、俺に寄りかかってスースーと寝息を立てる阿部ちゃん。



なかなか見慣れない光景に少し驚いたけど、まだ病み上がりで疲れちゃうのも無理ないか。





せめて阿部ちゃんの家に着くまでゆっくり寝かせてあげようと、俺も極力動かないように目を閉じた。





マ「阿部さん、着きましたよ。」




なかなか目を覚さない阿部ちゃんの肩を優しく何度か叩くとようやく薄っすらと目を開けた。



荷物をまとめて車を降りようと俺の前を阿部ちゃんが横切ったとき、何故か病院の匂いが鼻を掠めた。



独特なあのアルコールの匂い。



何でそんな匂いするんだろう。



まだ何か病院に通うことがあるの?



でも、問いただす間もなく阿部ちゃんは帰っていった。

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あお - 続きが更新されるのを楽しみにしてます。 (2021年5月6日 1時) (レス) id: 5edf3afd73 (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 苦しくて泣いちゃうけど読み応えあります、大好きな作品です。 (2021年4月19日 1時) (レス) id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
藍華(プロフ) - はじめまして!この作品を愛読させて頂いているものです。ほんとにお話を読むたび苦しくなるのですが、何回も読み返すくらい大好きな作品です! (2021年4月9日 0時) (レス) id: 55f4a21869 (このIDを非表示/違反報告)
恋した月(プロフ) - 初めまして、このお話が好きすぎるのでコメントさせてもらいます()どの描写もabらしくてSnらしくて本当に美しいくて苦しくて大好きです。これからも応援しています。 (2021年2月13日 17時) (レス) id: d6f1a4b68b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しぃ | 作成日時:2021年1月26日 12時

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