episode.25 ページ25
*
岩本side
千秋楽の後、阿部からメンバーに、それはそれは長文の謝罪メッセージが届いた。
本人も相当悔しかったのだろうとは思うんだけど。
でも正直、俺や他のメンバーだって怪我したり体調崩したりして仕事に穴を開けたことくらいある。
たまたま今回はそのタイミングが大切にしてる舞台の千秋楽だったというだけで。
だけどやっぱりほら、また。
阿「あの、撮影前に良いですか？
この度は、大切な滝沢歌舞伎の千秋楽という日に、自身の体調管理がなっていないばかりに皆さんにご迷惑をおかけしてしまい本当に申し訳ありませんでした…
本当に、なんてお詫びをしたら良いか…」
ものすごく苦しそうな顔で謝罪の言葉を並べながら深々と頭を下げたまま動かない。
そんなに気にすることじゃない、滝沢くんの言葉でその場は一旦終わったものの、撮影間際まで阿部の表情は暗かった。
その姿がどうしても気になって、撮影準備の隙に阿部を呼び止めた。
「阿部、ちょっといい？」
阿「あ、照。千秋楽の日、俺ほんと、ごめ、」
「もういいからそれ。」
再び阿部の口からついて出た謝罪の言葉を遮るようにそう告げると、びくっとして一瞬怖がるような表情を見せた。
「ちがう、ごめん、怒ってるんじゃなくて。
もうさ、謝んのやめね？
阿部が悪い訳じゃないし、あれだけのことしてたら誰が体調崩してもおかしくなかったんだよ。
他の奴らだって今まで色んなところで穴開けたりしたけどさ、その時阿部は迷惑だと思った？」
阿「それは、、思わないけど…」
「そういうことだよ。
千秋楽だったし、余計辛かったと思うけどさ、この借りはまた次に９人で返そうよ。」
阿「また次に、、９人で…？」
「そ。だからそんな最後みたいな顔すんなよ。」
阿「、、、うん、そうだね。」
やっと阿部が笑ってくれた。
「あ、あとお前痩せ過ぎだから今日はめっちゃ食わす」
13kgも痩せたなんて許さねーし、と少しふざけて阿部を小突くと、ポケットの中のペンのようなものに触れた。
「お前、まさかここでも勉強するつもり？ペン持ち歩いてんの？」
お世辞にも明るいとは言えない二人の間の空気が少しでも軽くなればとふざけて言ってみたけど、相変わらず引き攣った顔で何でもないよと返す阿部。
ごめんだけど、
ほんの少しだけ、
イラッとした。
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あお - 続きが更新されるのを楽しみにしてます。 (2021年5月6日 1時) (
レス) id: 5edf3afd73 (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 苦しくて泣いちゃうけど読み応えあります、大好きな作品です。 (2021年4月19日 1時) (レス) id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
藍華(プロフ) - はじめまして！この作品を愛読させて頂いているものです。ほんとにお話を読むたび苦しくなるのですが、何回も読み返すくらい大好きな作品です! (2021年4月9日 0時) (レス) id: 55f4a21869 (このIDを非表示/違反報告)
恋した月(プロフ) - 初めまして、このお話が好きすぎるのでコメントさせてもらいます()どの描写もabらしくてSnらしくて本当に美しいくて苦しくて大好きです。これからも応援しています。 (2021年2月13日 17時) (レス) id: d6f1a4b68b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しぃ | 作成日時：2021年1月26日 12時
