episode.22 ページ22
*
阿部side
慣れない場所で眠りも浅い上に、夜中は２時間おきに採血をされ、結果が悪ければ何時だろうと容赦なく劇的に不味い薬を飲まされた。
怠い体に寝不足、そして、改めて昨日の自分に起きたことを思い出し、気分は最悪な朝を迎えた。
はぁっとため息をつき目を閉じたところに、現実と向き合う時間が訪れる。
医「阿部さん、調子はどうですか？少しお話ししましょうか。」
検査結果を沢山手に持った先生が、ベッドサイドにやって来て話しはじめた。
医「付き添いの方に、お仕事のこと伺いました。
昨日お休みする決断をされたこと、私は本当に良かったと思っています。
朝、阿部さんがお仕事に向かわれた後、助けられるはずの患者さんを見殺しにしてしまったと思いました。
もしあの状態で無理をされていたら、命を落としていてもおかしくありませんでした。
本当に、良かった。」
「、、そんなに、ですか…」
医「そうです。それだけ危険な状態だったんです。」
「じゃあ、僕の病気は、、、」
医「はい。検査の結果、
やはり、__________病で間違いないと思います。」
ほんの少しだけ抱いていた淡い期待が打ち砕かれ、一瞬にして、自分だけどこか遠い世界に連れて行かれたような気分になった。
「、、治りますよね。」
帰ってくる言葉は分かっているはずなのに、思わずそんなことを口にしてしまう。
「阿部さん…
今の医療では完治させる方法がないんです。
毎日の注射を一生続けることしか、阿部さんを助けてあげられる方法はありません。」
ネットでだって見た。
どこかで覚悟だってしていたはずだ。
だけど、いざ目の前でそう言われると、まさか自分の身に起きていることだなんて思えなかった。
医「ですが阿部さん、
『注射さえ打てば』普通の人と変わらない生活が送れます。
お仕事だって今まで通り続けていただいて構いません。
一緒に、頑張りましょう。」
この時は、先生のこの言葉が俺の希望だった。
きっとひとりで向き合っていける。
先のことばかり考えるのはよそう。
やってみたら何とかなるかもしれない。
その言葉が、次第に俺を苦しめ追い込んでいくとは知らずに。
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あお - 続きが更新されるのを楽しみにしてます。 (2021年5月6日 1時) (
レス) id: 5edf3afd73 (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 苦しくて泣いちゃうけど読み応えあります、大好きな作品です。 (2021年4月19日 1時) (レス) id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
藍華(プロフ) - はじめまして！この作品を愛読させて頂いているものです。ほんとにお話を読むたび苦しくなるのですが、何回も読み返すくらい大好きな作品です! (2021年4月9日 0時) (レス) id: 55f4a21869 (このIDを非表示/違反報告)
恋した月(プロフ) - 初めまして、このお話が好きすぎるのでコメントさせてもらいます()どの描写もabらしくてSnらしくて本当に美しいくて苦しくて大好きです。これからも応援しています。 (2021年2月13日 17時) (レス) id: d6f1a4b68b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しぃ | 作成日時：2021年1月26日 12時
