episode.21 ページ21
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阿部side
ここに来た時とは比べ物にならないくらい怠くて重たい体に、ようやくお医者さんの言葉を理解した。
もちろん悔しいし情けないし何より申し訳ないけど、舞台に立たないという選択をしたことは正しかったと思ってしまう自分もいる。
目を開けていることさえ今は辛くて、すぐに意識を失いそうになるから。
だけど、たとえ舞台に立たなくても、俺の穴を埋めるために必死で頑張ってくれているメンバーの姿を見ないわけにはいかない。
スタッフさんがベッドの傍に持ってきてくれたモニターを必死に見つめた。
『 春の踊りは、、、』
あたりまえのように舞台の上で聞いていた照のその言葉。
桜吹雪の演出はこんな風に見えていたんだ。
8人で構成される舞台は、今日初めて創り上げられたものとは思えないほどで、一人足りないことなんて微塵も感じさせなかった。
ふと、この光景が当たり前になってしまったらどうしよう、そんなことが頭をよぎる。
そうか、もしお医者さんのいう病気が確実なら、俺はこの先続けていける保証なんてないのか。
来年この舞台を踏むSnowManに、俺の姿はないのかもしれない。
気がついてしまった瞬間、俺はモニターを見ていることができなくなった。
「みんな、、ごめん、、」
誰に届くでもない言葉を吐き出して、モニターの電源をそっと落とした。
そして、手探りでスマホを探し出し、マネージャーに電話を掛ける。
「、、びょ、いん、、つれてっ、、て、、くだ、っさい、、」
スタッフさん数人に抱えられ、舞台裏を移動するメンバーに気付かれないように、劇場を後にした。
そこから先はもう、何も覚えていない。
ただ一つ確かなのは、目を覚ました場所の景色は今朝と違うと言うこと。
ドラマなんかで見る病衣を着せられていて、腕から伸びる点滴の管とデジタルの輸液ポンプ、胸には心電図。
やっぱ、入院だよな。
時間を確かめたくて枕元に置かれたスマホの画面をタップすると、なんともう夜の10時を過ぎていた。
メンバーからの大量のメッセージ。
読む気にも、返事をする気にもなれなくて、そのまま画面を閉じた。
入院したことを言うつもりはない。
みんなに、なんて言い訳しよう。
この時の俺は、ひとりきりで闘うことの苦しみを、まだ分かっていなかったんだ。
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あお - 続きが更新されるのを楽しみにしてます。 (2021年5月6日 1時) (
レス) id: 5edf3afd73 (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 苦しくて泣いちゃうけど読み応えあります、大好きな作品です。 (2021年4月19日 1時) (レス) id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
藍華(プロフ) - はじめまして！この作品を愛読させて頂いているものです。ほんとにお話を読むたび苦しくなるのですが、何回も読み返すくらい大好きな作品です! (2021年4月9日 0時) (レス) id: 55f4a21869 (このIDを非表示/違反報告)
恋した月(プロフ) - 初めまして、このお話が好きすぎるのでコメントさせてもらいます()どの描写もabらしくてSnらしくて本当に美しいくて苦しくて大好きです。これからも応援しています。 (2021年2月13日 17時) (レス) id: d6f1a4b68b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しぃ | 作成日時：2021年1月26日 12時
