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『これ、…はちょっと違うか』
確か表面には小さい花柄。
それで色は淡い水色。
頭に残っている情報を頼りに商品の棚を探る。
全く同じものはないだろうから、なるべく似たようなものを探して。
数日前、完全に私の不注意で割ってしまった深澤さんのコップ。
深澤さんは気にしなくて良いよって言ってくれたけど、じゃあと甘えるわけにもいかないから、夕方、作業が終わってから駅前に出かけて代わりになるものを買うことにした。
────で。
「まだ気まんねぇの？」
そのやってきた駅前で、たまたま仕事終わりの渡辺さんにどういうわけだか遭遇した。
『まだです』
「なげーな」
じゃあ帰ればいいのに！
そんな声は心の中に留めて、クールビズとかなんとかでYシャツ一枚の渡辺さんを見上げる。
「なに」
『…なんでもないです』
形では渡辺さんが私に付き合ってくれてるわけだから帰れとは言えない。
だけど、そもそも私は挨拶だけして先に帰っててもらうつもりだったのに、なぜか彼が私の買い物についてきたのだ。
前はあんなに私のことを嫌っていたのに、わざわざ自分からついてくるなんてなに考えてるのかよくわからない。
「全く同じのなんて売ってるわけねぇんだから適当にこの辺のやつにしとけよ」
『それじゃ意味ないじゃないですか』
「あ？コップなんかどれも同じだろ」
『でもあのコップ、多分深澤さんがすごく大事にしてたものだったんだと思うんです。割れたやつ片付けてた時もなんか少し悲しそうな顔してたし、』
深澤さんのあんな顔、初めて見たから。
いつもはなんだかへらりとしているのに、あのコップが割れたのを見た時はぜんぜん違った。
「なら尚更、」
そう口を開くと私の隣で適当に手に取ったコップを手のひらに乗せてきた渡辺さん。
そしてそのまま私をじっと見下ろす。
「お前からその代わりにもらうものなんてどうでもいいだろ。全く同じものが戻ってくるわけじゃないんだし。」
『……』
「あえて考えるなら、使いやすいとか、そういうところ重視すれば良いんじゃねーの。」
ぼすんと、渡辺さんが完全にコップから手を離したのか、手のひらに重みがかかる。
……どうでもいい、
たしかに、…そっか。
私からお詫びであげるものが、元あったものの価値を超えることはないんだから、似たものを探したところで意味ないのか。
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彩花(プロフ) - 初めまして！私は渡辺派なので少しでも絡みのある回を見ると勝手に微笑んでしまってます笑 続編楽しみにしてます！ (2023年4月10日 0時) (
レス) id: 7fda05ffd5 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - 咲里以さん» ジリジリすぎて大丈夫かな？と思っていたので、そのように言っていただけて安心しました、！ありがとうございます、頑張ります！ (2022年6月29日 17時) (レス) id: 1ae247aadb (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - ここあさん» 更新遅くて申し訳ないです、、そう言っていただけて嬉しいです、！ (2022年6月29日 17時) (レス) @page36 id: 1ae247aadb (このIDを非表示/違反報告)
咲里以 - 初めまして！ジリジリ進んでるような違うような…ムズムズきゅんしています。続き楽しみにしているので、主様の無理ない範囲で更新待っています！ (2022年4月13日 2時) (レス) @page34 id: d6172fab00 (このIDを非表示/違反報告)
ここあ - 続きがすごく見たくなりました！！ (2022年4月1日 2時) (レス) id: 5e0c35ed0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こゆき
| 作成日時：2020年12月1日 20時
